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第1節 調査研究の総合的推進

 環境保全に関する調査研究の総合的推進を図るため、環境庁は各省庁の環境保全関係調査研究費の見積り方針の調整により各省庁において実施する調査研究の総合調整を行なうとともに、国立試験研究機関等の試験研究費のうち公害の防止等を主目的とするものについては環境庁で一括計上を行ない、大気汚染、水質汚濁、騒音等各種公害、廃棄物処理、自然環境の保全等の各研究分野における試験研究の総合的推進を図ることとしている。
 48年度の一括計上にあたっては、当面する問題への対応の観点のみならず、長期的視野に立って環境保全対策推進の基盤を確保するよう配慮し、従来から実施している各種試験研究の他、あらたにシステム的な手法を用いた対策技術の研究、最近の環境問題に関する国際的動向に対応するための研究、蓄積性・残留性の有害物質等による環境汚染の実態の早期把握と未然防止技術の研究等にも重点を置いて第7-2-1表の研究開発の促進強化を図ることとしている。また、問題が多岐にわたるためとくに総合的に実施する必要があり、環境保全行政の上からもニーズの高い重要研究については、各省庁間の組織的協力体制のもとに、次の8つの総合研究プロジェクトを編成することにより、重点的な研究を志向することとしている。
 総合研究プロジェクト一覧
? 光化学スモッグ等都市型大気複合汚染防止に関する総合研究
? 無公害自動車の開発に関する総合研究
? PCB等新汚染物質の評価ならびに汚染防止に関する総合研究
? 排水処理の高度化に関する総合研究
? 瀬戸内海沿岸海域の汚染防止に関する総合研究
? 廃棄物の処理と資源化技術に関する総合研究
? 環境計画のシステム的手法の確立に関する総合研究
? 自然環境の管理および保全に関する基礎的技術開発のための総合研究


 48年度において、環境庁に計上されている環境保全関係調査研究費(科学技術振興費)は総額3,348百万円(前年度2,735百万円)となっている。このうち一括計上による研究費は11省庁45機関で実施する84の研究課題について総額2,210百万円(前年度1,340百万円)が計上され、前年度に比し65%の増となっている。また、環境行政の推進上、とくに必要な各種規制基準の設定、環境汚染の健康影響、各種汚染物質の測定技術、環境汚染の発生メカニズムの解析等に関する調査研究を実施するための経費として659百万円(前年度426百万円)が計上されている。
 さらに、環境保全総合調査研究促進調整費380百万年(前年度350百万円)が計上され、見積り方針調整および一括計上後の緊急事案の発生等に機動的に対処することによって環境保全に関する各種調査研究の総合的な成果の確保を図ることとしている。
 なお、関連する諸分野との有機的な連携をもたせて、環境汚染の及ぼす影響、公害監視測定方法等の公害研究の中心的役割をになう研究機関として、49年1月には国立公害研究所が開設されることになり、そのための研究費が新たに計上された。
 この他にも環境庁および各省庁には、公害対策関係各種調査研究費、研究補助金等が計上されており、公害対策関係調査研究費の総額は11,012百万円(前年度6,395百万円)であり、従来にも増して強力な調査研究の推進と実りある成果の確保とが期待されている。
 次にこれらについて、各研究対象別に主要調査研究の概要を述べる。

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