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第1節 調査研究の総合調整

 環境汚染はその発生原因や態様において、近年ますます複雑、多様化するとともに深刻化の度を深めつつあり、人間および人間環境に対しても様々な形をとって悪影響を及ぼしつつあるが、これらの発生原因や影響について解明するとともに、さらに一歩進んで汚染原因を除去し、環境汚染を未然に防止するための有効適切な対策を講ずるには、これに対応する環境保全に係る科学技術の進展に期待される面が非常に大きい。
 このような要請を受けて、国においては従来から環境科学技術の振興を努めてきており、各種環境汚染の発注メカニズムの解明、人及び動植物への影響の把握、公害防止技術の研究開発等の研究を進めているところであるが、これらの研究は、各種の研究分野が相互に密接に関連し合う領域であるため、広範な研究分野にわたる研究機関、研究者が密接な運けいを保ちつつ、総合的、一体的に進めることが、効率的な研究の推進を図っていくうえにおいてどうしても必要な前提となってくる。
 環境庁では、このような観点から各省庁の環境保全関係経費についての見積り方針の調整により各省庁において実施する環境保全に関する調査研究の総合調整を行なうとともに、公害防止等を主目的とする各省庁の試験研究機関の経費および各省庁の試験研究委託費については予算の一括計上を行なうことにより総合調整を行ない、各研究実施機関間の連けいの強化、研究分担の明確化等による研究推進の効率化を図ることとし、47年度予算からこれに着手した。
 47年度において環境庁で一括計上した各省庁関係の試験研究関係予算は、9省庁の試験研究機関等で実施する44の研究課題にかかる研究費1,000百万円および通商産業省所管工業技術院中国工業技術試験所に設置する瀬戸内海大型模型の設備費および施設費959百万円の総額1,959百万円であった。
 この他環境庁では、とくに環境庁所管行政の推進上重要な課題である各種規制基準の設定、環境汚染の健康影響、各種汚染物質の測定技術、環境汚染の発生メカニズムの解析等の基礎的な調査研究(予算額426百万円)を実施した。
 また、見積り方針の調整ならびに一括計上による総合調整後に生じる予想できない情勢の変化に対処して、各種調査研究の進度調整、または緊急な調査研究などを行なうために環境保全総合調査研究促進調整費(予算額350百万円)を設けて、環境庁の行なう総合調整業務の補完、強化を行ない環境保全に係る調査研究の総合的な効果の発揮を図った。本調整費により、PCB汚染防止に関する総合調査研究等計30の調査研究を実施した。このうちとくに次の6テーマについては、前年度に引き続き、またPCBについては、47年度において新たに関係各省庁の共同研究として研究班を組織し、環境庁が共同研究の総合的研究推進体制を確保することに努めた(第7-1-1表)。
 以上各省庁の一括計上も含めて環境庁で計上された調整研究費の総額は2,735百万円であった。
 この他、各省庁で計上した公害対策関連各種調査研究費、研究補助金を含めると、公害対策関連調査研究費の総額は6,394百万円であった。
 これらの環境保全関連調査研究費を大気汚染、水質汚濁、騒音振動、悪臭等の研究対象別にとりまとめれば次のとおりである。
 なお、第7-1-2表に環境庁において一括計上した研究費についてその内訳を付した。

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