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第6節 

3 その他

 鉛の大気汚染による健康影響は、いわゆる牛込柳町事件を契機として大きな社会的関心を集めるに至った。46年から47年にかけて愛知県名古屋市にある利川製鋼から排出されるばいじん中の鉛汚染による健康影響調査において、鉛中毒患者は認められなかったが、数名を要観察者とし、必要に応じ医師の検診を受けることとした。
 PCBについては、滋賀県草津市の日本コンデンサ(株)草津工場周辺の住民および大阪府豊中市の松下電器産業(株)進相コンデンサ工場周辺の住民について滋賀県において健康調査を実施したが、カネミ油症のようなPCB中毒症を疑われる症例は認められなかった。しかし、豊中市の工場周辺の住民および草津市の工場周辺の住民の一部のものについては、今後環境汚染状況を参考にしながら経過観察を行なうこととしている。
 クロムについては、栃木県足利における住民健康調査においては、健康影響は認められなかった。
 また、北海道栗山町においては現在健康調査を実施している。また、滋賀県米原町にあるアンチモンの精錬工場よりいおう酸化物、粉じん等が排出され工場の附近に植物被害や皮膚疹が出る等の訴えをする者が出た。このことから地元赤十字病院において健康調査を進めてきたが、県は47年度に環境汚染調査、住民健康調査等精密な調査を実施している。

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