前のページ 次のページ

第6節 

1 光化学反応における大気汚染

 昭和47年度における光化学スモッグによる被害の届出状況は、東京で4月27日に第1回目の注意報(オキシダント濃度が1時間値で0.15ppm以上になると発令される)が出され、4月29日には最初の被害届が報告されて以来、11月末現在では東京、大阪地域を中心に2,245名となっている。
 これらの光化学スモッグによるとみられる被害は、現在のところ、地方公共団体において、被害を受けたという者の届出により、集計せざるをえないので、その正確な実態を把握しているとはいい難い面がある。被害の内容は眼の刺激、のどの痛み等の軽度な訴えが大部分であつたが、被害届出者の中には、呼吸困難、四肢のしびれ、けいれん等のかなり重篤な症状を訴え、入院治療を要するという事例が数例報告されており、そのほとんどが、戸外でかなり激しい運動を行なっている際およびその後に発生したものである。
 国としては、光化学スモッグ対策の一環として、47年度においては、検診車の製作を行ない光化学スモッグを含めた複合大気汚染の健康への影響についての調査研究を行なうこととしている。

前のページ 次のページ