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第5節 

2 瀬戸内海の汚濁防止対策

 瀬戸内海の水質汚濁防止対策については、瀬戸内海の水質汚濁の深刻化、広域化の現状にかんがみ、46年10月関係行政機関からなる瀬戸内海環境保全対策推進会議を設立し、内海の水質保全対策について関係各省庁が一体となり推進することとなった。
 46年12月当面実施すべき施策について、同会議の中間報告を得、これにもとづき、次の各般の施策を講じているところである。また長期的には瀬戸内海環境保全のためのマスタープランの策定のもとに総合的対策を講じることとしている。
(1) 現在講じられている施策としては、次のようなものがあげられる。
ア 環境基準の水域類型の指定および上のせ排水基準の設定
 環境基準の水域類型の既指定水域は50水域である。
 また、上のせ排水基準の既設定水域は、全県設定では、大阪府、兵庫県、広島県であり、個別設定では、岡山県(5水域)、山口県(4水域)、徳島県(2水域)、香川県、愛媛県、和歌山県(各1水域)である。
イ 公害防止計画の推進
 公害対策を進めるために、公害防止計画を策定することとしているが、水島地区についてはすでに計画の承認がなされ、大阪等5地域については目下計画を策定中である。また、岩国等2地域については基本方針を指示中であり神戸等3地域については公害防止計画を策定するための基礎調査を行なっているところである。
ウ 下水道整備の促進
 下水道整備5箇年計画における瀬戸内海関係予定投資額は、約7,500億円であり、全国投資額の30.0%である。なお普及率の推移については、第3-5-4表のとおりである。
エ し尿の海洋投棄の制限
 し尿の衛生的処理を図るため、従来より施設整備に努めてきたところである。瀬戸内海におけるし尿投棄量は、40年度約4,000kリットル/日であったが、45年度末約3,000kリットル/日と減少している。さらに、48年4月1日からは瀬戸内海におけるし尿投棄は全面的に禁止された。
オ 廃油処理施設の整備
 瀬戸内海において47年度に整備中である廃油処理施設は5港5か所であり、47年度末現在で稼動中の廃油処理施設は、15港26か所である。
カ 海洋汚染の監視取締り
 瀬戸内海は海洋汚染の多発する海域であるため、海上保安庁では監視重点海域として、常時巡視艇を配備し、緊密な連けい監視体制をとっている。
 海洋汚染事犯検挙件数は45年70件、46年198件であった。
キ 水質汚濁メカニズムの調査研究
 地形の変化に富む瀬戸内海は潮流が複雑なパターンを示し汚濁も複雑である。そこで959百万円(46年度は389百万円)で、水質汚濁メカニズムの解明のための瀬戸内海大型水理模型の建設を行なった。また76百万円で瀬戸内海水質汚濁総合調査を行ない、広域的な汚濁の実態把握を行なったことは先述のとおりである。
ク 赤潮防除技術の開発
 環境庁、水産庁、海上保安庁の協力のもとに47年度において17.7百万円で、赤潮発生の予察、防除技術の開発をめざし、水質汚濁と赤潮発生との因果関係の研究を行なった。
ケ その他
 以上のほかに、瀬戸内海に流入する大阪地区等の河川の河床の汚泥のしゅんせつ作業や、兵庫運河、武庫川等において水質監視測定施設の整備事業を行なった。

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