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第2節 

1 教育関係の施策

(1) 小・中・高等学校における公害に関する指導
 公害問題については、その重要性にかんがみ、従来から学校教育においても社会科を中心として指導を行なってきたが、経済発展との調和条項を削り、国民の健康の保護、生活環境の保全を図ることが重要であることを明確にした第64回国会における公害対策基本法の一部を改正する法律等公害関係諸法の制定に伴い、公害に関する指導がその趣旨に即していっそう適切に行なわれるように、昭和46年1月20日付けで小学校学習指導要領(昭和43年文部省告示第268号)および中学校学習指導要領(昭和44年文部省告示第199号)の社会科の内容のうち、公害に関する部分について改正を行なった。また、これらの学習指導要領の改正に関連して、その解説書である小学校指導書および中学校指導書の社会編の当該部分の修正を同時に行なった。
 小・中学校の教科書における公害の取り扱いも、今後はこの改正された学習指導要領の趣旨に即してなされることになるが、来年度から使用される予定の小学校教科書についてはすでに検定済みなので、発行者の申し出によって当該部分の修正を行なった。
(2) 公立学校に対する助成
 公害は地域全般の問題であり、根本的には発生源を除去することが必要であるが、現実の問題としては、公害を受けている学校について、教育活動を円滑に行ない、児童・生徒の健康と安全を守るための学校独自の対策も講ずる必要がある。
 このため、43年度から、騒音(航空機騒音を除く。)、大気汚染等の公害により教育環境上著しく不適当な公立学校建物について、「公害等不適格建物改築(防止工事を含む。)事業」として国庫補助(補助率1/3)を実施しており、45年度予算額は、2億2,840万円である。
 なお、補助する公害防止事業の内容は、次のようなものである。
ア 騒音については、二重窓、遮音壁、天井吸音、動力換気装置等の防音工事および必要に応じてひき家移転あるいは木造建物を鉄筋コンクリート造りに改築(移転改築を含む。)する。
イ 大気汚染については、窓、扉等の気密化を行ない、これに伴って空気浄化装置等の工事および必要に応じて木造校舎を鉄筋コンクリート造りに改築(移転改築を含む。)する。
 45年度の国庫補助事業は、第3-16-5表のとおりで東京、大阪、兵庫等13都府県の42校である。
 なお、基地(飛行場、射爆場)周辺の学校については防衛施設庁において、公共用飛行場周辺の学校については運輸省において、それぞれ騒音防止工事に対する国庫補助を実施している。

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