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第3節 

1 騒音の人間に及ぼす影響

 騒音の健康に及ぼす影響としては聴力の損失をもたらす場合があるが、これは90ホン程度以上の騒音が連続した場合に生ずると報告されており、特殊な作業場等は別として一般生活環境ではまず聴力障害をきたすような条件はほとんどないと考えられる。
 騒音の人間生活への影響としては、不快感、会話妨害、作業能率の低下および睡眠妨害等があげられる。
(1) 不快感
 騒音による不快感については、大阪市における調査等から、55〜59ホンの騒音で住民の約半数が「気分がいらいらする」、「うるさい」などといった情緒的影響を訴えている。
(2) 会話妨害
 厚生省の生活環境審議会騒音環境基準専門委員会のまとめたデータによると、45ホン程度で話声の聴取明瞭度80%、会話可能距離4mであるが、60ホンになると聴取明瞭度は60%に低下し、会話可能距離は1mに短縮する。
(3) 作業能率の低下
 作業能率に影響を及ぼす因子としては、騒音のほか仕事の内容、温度、明るさその他多数の条件が複雑にからみあっているため、騒音のみの影響をは握することは容易でないが、騒音が90ホンをこえると仕事上の誤謬が明らかに増加すると報告されている。
(4) 睡眠への影響
 前記騒音環境基準専門委員会がまとめた騒音の睡眠への影響に関する資料によると、34〜40ホンで睡眠前後の血液中成分の変動が出現することが認められている。

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