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第3節 

5 その他の防止対策

 通商産業省では、従来からさまざまの騒音対策を行なっているところであるが、昭和45年度においては、次のとおりの施策を講ずることとしている。
(1) 工場建築物音響模型実験調査
 従来、工場建築物については、騒音防止の面からの配慮が加えられていないのが実情であるが、適正かつ効率的な騒音防止を行なうために、音の伝播経路やレベルが建屋の形状、材質あるいはその他の障害物によってどのように影響されるかを理論的に解明する必要があるので、工場建物等の模型を制作し、使用することにより詳細な解明を行ない、もつて合理的な騒音防止対策に資すること。
(2) 鍛造業騒音振動実態調査
 騒音振動を著しく発する業種の一つである鍛造業について公害防止対策の確立を図るため、鍛造業者、鍛造機メーカー、学識経験者等10人で構成する調査委員会を設けて鍛造機の種類、設置場所の地盤の種類、機械基礎の種類等の角度から調査対象(30工場)を選定のうえ、現地実測調査を実施する。
 また、その結果に基づき騒音、振動の発生、伝播と機械地盤基礎の種類あるいは工場レイアウトや立地環境との相互関係を解明し、既設工場内の施設設備の改善や集団化等による新規立地にさいしての設備投資の指針および公害防止のための技術開発の方向を明らかにしてその成果の普及を図ることとすること。
(3) 騒音防止対策施行状況調査
 騒音規制法施行後における工場、事業場の騒音防止対策の実情、被害の状況、事業主の騒音公害に対する意識等の改善状況につき、全国的な実態調査を行ない、法施行による成果と法運用上の問題点等をは握して、今後における騒音防止対策の指針とする。また、火力発電所およびガス事業場の公害を防止するため、騒音レベルについて実態のは握に努めること。
(4) 中小企業金融公庫の融資
 騒音公害は、公害発生地域から工場を移転させることが問題を解決するための重要な決め手となるので、45年度からは、新たに個別工場の移転について、中小企業金融公庫による低利融資の対象とするとともに、騒音防止施設も融資対象とすること。

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