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第1節 

4 その他

(1) 港湾の汚濁状況等調査
 船舶からの油による海水の汚濁の防止対策に資するために、横浜港、水島港、大分港を対象として、現在、汚濁度調査を行なっている。
 さらにすでに操業を開始した川崎港の施設について、廃油処理の能率を調査し、最適な機器構成とするため調査を行なっている。
(2) 海水汚濁事件処理状況調査
 船舶の油による海水汚濁による被害者救済対策に資するため、昭和44年度においては、船舶の油による海水汚濁事件の処理状況についての基礎調査を実施し、現在分析中である。
(3) 水路水質調査
 水路水質調査は下水道整備計画および総合的な水質汚濁防止対策の樹立に資するためのものであり、水質汚濁の著しい地域を対象とし公共用水域の水質汚濁の実態と水域に排出される都市排水の水質を調査するものである。
 昭和33年度より実施し、44年度においても引き続き第3-9-4表に示す水系で本調査を実施した。


(4) その他
 通商産業省においては、悪臭対策の重要性にかんがみ43年度に実施した全般的な企業および都道府県に対してのアンケートによる実態調査に基づき、44年度においては紙パルプおよび石油精製の2業種を対象した実態調査を実施している。
 これら2業種については、従来、問題とされながらも実態のは握が十分になされていなかったので、実態のは握とともに問題点を浮き彫りにし、あわせて対策を検討しようというものである。
 調査は、現場における実態調査と工場に対する依頼調査に分れ、その調査項目を大別すればいずれも次のとおりである。
ア 製造工程
イ 発生源における機器による成分測定
ウ 工場敷地内における機器による成分測定
エ 原試料の採取、分析
オ 苦情の発生状況
カ 防止対策の現状
キ 既存文献による取りまとめ
 この調査結果は現在、取りまとめ中であるが、調査に関する問題点を概括的に列挙すれば次のとおりである。
ア) 必要にして十分な測定器が開発されていないため、客観的な信頼のおける測定値が得られず、調査が不明確に終る傾向にある。悪臭対策の進展を期するためには、このような低濃度の成分を測定し得る機器の開発が不可欠の条件であるが、具体的には適当な測定対象成分に対する反応物質の早期開発が望まれるところとなっている。
イ) 第2には発生源に対する測定において、適当な測定方法を得るに困難であることである。一般に、このような測定は従来ならされておらず、このため適当な測定か所が得がたく、また、たとえ測定が可能となったとしても往々にして多量の水分等が混入しており、測定ができないことがある。このため測定方法に工夫が要求される。
ウ) 工場においては種々の防止対策を行なっているが、この場合当然のことながら、他の公害発生との関連において、十分注意して行なわなければならない。たとえば、排気について薬液による洗浄を行なった場合、その洗浄液の処理について十分注意が必要とされよう。このため、対策が著しく困難となる場合があろうが、防止対策は総合的に行なわなければならない。
エ) 悪臭成分の伝ぱ経路が判明していないため、被害の実態との相関関係を明らかにしえず、発生源の確認が困難となるし、対策も遅れがちとなる。
 なお、これと平行して資源技術試験所においては、活性炭吸着法による悪臭防止に関する研究、また、北海道工業開発試験所において各種の前処理方法とオゾン酸化法との組み合わせによる悪臭防止に関する研究をそれぞれ推進している。
 昭和44年度調査地区
 宮城県仙台塩釜地区(大気拡散調査)
 千葉県市原地区(大気拡散調査)
 群馬県安中地区(環境大気調査)
 静岡県富士地区(環境大気調査)
 新潟県新潟東港地区(環境大気調査)
 (追跡調査)
 愛知県名古屋南部地区(環境大気調査)
 山口県徳山・南陽地区(環境大気調査)
 福岡県大牟田、荒尾地区(環境大気調査)
 熊本県

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