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第2節 建設騒音対策

 基礎工事、鉄骨工事等に使用するくい打機、リベット打ち、コンクリートブレーカー、コンプレッサー、コンクリートプラント、アスファルトプラントに対しては、騒音規制法により規制を加えている。これらの作業を住居地域で行なうときは日曜日、夜間等の時間帯に行なうことが禁止される。公共工事、災害工事等はこの適用が除外されているが、これらの工事といえども極力騒音防止に努めなければならないことはいうまでもない。一般の建設工事にあっては、制限をうけない時間帯に作業を集中的に能率的に行なう必要がでてきた。また、規制をうけない無騒音無振動工法を採用するなどの対策を推進してきている。
 とくにくい打機においては、従来の既成杭の打撃工法によるくい打機にかわって現場打ち杭の掘削工法によるくい打機が各種開発されてきており、この方面の進歩は著しいものがある。リベット打ち機についてはインパクトレンチによるハイテンションボルト締め工法あるいは最近開発された六角ボルトによる油圧式ボルト締め工法が代用されつつあり、また、できるだけ工場でリベット打ちをしており現場でのリベット打ちを少なくするなどの進歩がみられる。コンクリートブレーカーなどのさく岩機についてはまだ代替工法が開発されていないが今後改善の余地があるものと思われる。コンプレッサー、コンクリートプラント、アスファルトプラントについては、騒音規制法の施行を契機として低騒音型の機械が開発されてきており、この方面においても今後著しい騒音低下が図られている。コンクリートプラントについては、市街地における建設工事はほとんど生コン工場からミキサー車で輸送されており、建設騒音として適用される例は少ない。以上の特定建設作業のほかにブルドーザ、ショベル、ミキサー車、トラックなどについても苦情があるが、特定建設作業よりも騒音レベルが一段と低くまた建設車両であるので騒音防止の方法も異なるであろう。今後交通騒音の規制が議論される段階において考えるのが適当であろう。ただし、これらの建設車両においてはなおいっそう騒音防止を図る余地が残されている。
 今後、国、地方公共団体、建設業者、建設機械製作会社が共同して低騒音型の建設機械の開発に努力していかなければならない。
 建設工事の施行に伴って発生する騒音の防止は、騒音の発生源は主として工事に使用する機械類であることから、最終的には、低騒音ないしは無騒音機械類の使用、無騒音工法の採用等、建設工事の施行方法の改善によらなければならないので、機械類の改良、新技術の開発を図る必要がある。
 このような点から、建設省においては、これら建設機械の改善および新工法の開発について推進を図るとともに、建設工事に伴って発生する騒音を防止するための施設に必要な資金をあっせんするよう努めるほか、騒音の規制法の施行を契機として、騒音の防止の方法、作業時間の選定等について具体的な指導基準を作成し、これによって公共工事の発注機関に対し騒音防止について努力を要請するとともに建設業者に対して必要な指導をおこなっている。
 また、騒音規制法に違反し、とくに悪質なものについては、建設業法に基づき必要な行政処分を行なうこととしている。

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