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第2節 

1 騒音による各種の影響

 騒音の影響としては、うるさい、気分がいらいらするといった不快感、会話の妨害、作業能率への影響、睡眠障害などのほか、騒音の程度によっては聴力損失をもたらすこともあるが、労働環境の場合と違って、一般地域環境における騒音で聴力障害を起こすことはまず少ないと考えられる。
(1) 不快感
 騒音による不快感について昭和42年の大阪市におけるアンケート調査では、55〜59ホンになると「気分がいらいらする」「腹が立つ」「不愉快になる」「安静が保たれない」など情緒的影響を訴えるものが住民の50%に達している。
(2) 会話妨害
 厚生省の生活環境審議会の中に設けられた騒音に関する環境基準専門委員会が、従来のデータを整理したところによると、45ホン程度で、聴取明瞭度が80%、会話可能距離が4mであるが、60ホンになると聴取明瞭度60%に低下し、会話可能距離が1mに短縮する(第2-3-4図)。


(3) 作業能率の低下
 騒音の作業能率に及ぼす影響については、作業能率の変化が仕事の変化、温度条件、採光、証明条件の変化等と結びついており、騒音の影響のみを取り出すことが困難なため、十分な結論が得られているとはいいがたいが、騒音レベルが90ホン以上になれば、仕事上の誤謬の数が有意に増加するといわれている。
(4) 睡眠への影響
 前記騒音環境基準専門委員会が整理した資料から、騒音の睡眠への影響をみると、たとえば、睡眠前後の血液中の成分の変動が34〜40ホンで出現することが認められている。

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