資料8 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の概要

使用済自動車は、有用金属・部品を含み資源として価値が高いものであるため、従来は解体業者や破砕業者において売買を通じて流通し、リサイクル・処理が行われてきました。しかし産業廃棄物最終処分場のひっ迫により、使用済自動車から生じるシュレッダーダストを低減する必要性が高まっています。また、最終処分費の高騰、鉄スクラップ価格の低下・不安定な変動により、近年、従来のリサイクルシステムは機能不全に陥りつつあり、不法投棄・不適正処理の懸念も生じている状況にあります。
このため、自動車製造業者を中心とした関係者に適切な役割分担を義務付けることにより使用済自動車のリサイクル・適正処理を図るため、自動車リサイクル法が平成14年7月に制定され、平成17年1月1日に本格施行されました。
自動車リサイクル法では拡大生産者責任の考え方に基づき、使用済自動車の処理工程で発生するフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストについて、自動車製造業者及び輸入業者(以下「製造業者等」という。)に対して引取り及びリサイクル(フロン類については破壊)を義務付けます。それとともに、引取業者、解体業者等の関連事業者による使用済自動車等の引取り・引渡しのルールを定めるとともに、使用済自動車等の流れを全て電子マニフェストで管理することにより、関連事業者間での引取り・引渡しが適正になされるよう、確認することができるシステムとなっています。
製造業者等は、エアバッグ類は85%以上、シュレッダーダストは段階的に平成21年度までは30%、平成26年度までは50%、平成27年度以降は70%以上のリサイクル率を達成するとともに、そのリサイクルの状況を毎年度公表しなければなりません。
また、製造業者等のリサイクルに充てる費用は、リサイクル料金として原則新車販売時に自動車の所有者があらかじめ預託することとしています。製造業者等の倒産・解散による減失を防ぐため、リサイクル料金は資金管理法人が管理し、製造業者等はシュレッダーダスト等のリサイクルに当たりその払渡しを請求できることとします。なおリサイクル料金はあらかじめ製造業者等が定めて公表し、不適切な料金設定に対しては国が是正を勧告する仕組みとしています。この預託金のうち、解体自動車が輸出されるなどによって国内で処理する必要が無くなったシュレッダーダストの処理料金や、回収された後に再利用されたフロン類の破壊料金などについては、特定再資源化預託金として離島における使用済自動車の輸送にかかる費用や、使用済自動車等が不法投棄された場合の撤去費用等に対する都道府県等への支援事業に活用しています(資料8-図)。

資料8-図	自動車リサイクル法の概要



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