循環型社会白書の刊行に当たって


環境大臣 小池 百合子

 資源の消費を抑制し、環境に対する負担をできるだけ小さくする循環型社会への移行は、我が国にとどまらず、国際的にも重要な課題となっています。

 本年4月には、小泉総理の提唱の下で、3Rの国際会議(3Rイニシアティブ閣僚会合)が東京で開催されました。私はこの会議の議長として、我が国、そして世界で、ごみの発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)という、いわゆる「3R」を推進し、循環型社会の構築を推進しようとする気運が高まっていることを強く感じました。


写真 3Rイニシアティブ閣僚会合
【3Rイニシアティブ閣僚会合】
平成17年4月28日から30日まで、東京で3Rイニシアティブ閣僚会合が開催され、小池環境大臣を議長として、3Rの国際的な推進のための取組を一層充実・強化していくこと等を内容とした議長総括が採択されました。


 一方、地球温暖化の防止に向け、本年2月には、京都議定書が発効しました。循環型社会づくりと脱温暖化社会づくりは我が国の環境政策の2本の柱となっています。これらの取組は、いずれも経済社会システムやライフスタイルの見直しを必要とするものであり、両者の相乗効果(シナジー)を最大限に発揮するよう、対策を実施していくことが重要です。


 本年2月には、京都議定書の発効を記念するため、ノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんが来日し、その際に知った日本の「もったいない」という言葉に感銘を受け、この考え方を世界に広めようとされています。「もったいない」とは、そのものの本来の値打ちを無駄にすることなく生かしていこうという考え方です。


写真 マータイさんの来日
【マータイさんの来日】
平成17年2月16日に京都議定書の発効を記念した行事が開催され、ワンガリ・マータイさんが基調講演を行うため来日されました。その際、環境大臣室で、小池環境大臣と意見交換されました。


 循環型社会を構築するためには、まず、私たち一人ひとりがこの「もったいない」の考え方を大切にしながら、ごみを減らし、使えるものは繰り返し使い、ごみになったら資源として再利用するという3Rの取組を進めていくことが大切です。3R推進の機運が世界的に高まっているこの時を好機として、国民、事業者、市民団体、地方公共団体、国といった関係者が協力して、行動を起こしていかなければなりません。

 循環型社会形成推進基本法の制定から5年目の節目となる今年の循環型社会白書では、全ての国民に共通する最も身近な問題であり、いわば、循環型社会の基礎ともいうべき、「ごみの3R」の推進をテーマに、その現状と課題、国民、企業、行政の取組を分かりやすく紹介しています。

 この白書が、ごみの3Rの推進の現状や背景を理解し、関係者が一体となって、持続可能な社会づくりに向けた具体の行動を進めていく一助になれば、これに勝る喜びはありません。

平成17年6月

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