第5節 地球規模の視点を持って行動する取組

 「第三次生物多様性国家戦略」に基づき、引き続き生物の多様性に関する条約(以下「生物多様性条約」という。)の国内外での実施促進を図ります。

 生物多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書については、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づき、関係省庁とともに遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより、国際的に協力して生物の多様性の確保を図っていきます。

 ワシントン条約については、締約国間の適切な条約運用に向けての取組とともに、種の保存法の適切な運用等により、関係省庁間の協力の下に国内におけるより効果的な条約の履行体制の強化を図っていきます。

 ラムサール条約については、アジア地域の重要な湿地の保全のため、引き続きアジア諸国の加盟及び湿地登録の促進に努めるとともに、湿地管理に関する人材養成や調査研究への協力などアジア地域における協力体制の一層の強化を図ります。

 アメリカ、オーストラリア、ロシア、中国及び韓国との二国間の渡り鳥等保護条約等に基づき、各国との間で渡り鳥等の保護のための共同調査を引き続き推進するとともに、会議の開催等を通じて情報や意見の交換を行います。

 平成18年11月に発足した「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」に基づき、同地域における渡り性水鳥とその生息地の保全に向けた取組を推進します。

 トキ保護協力に関する基本的な枠組みである「日中共同トキ保護計画」に基づき、双方が進めるトキの野生復帰に係る協力などを積極的に推進します。

 平成19年4月に東京で開催されたICRI総会における決議を踏まえ、東アジアを中心としたサンゴ礁保護区のネットワークづくりに着手します。その一環として平成20年秋頃に「国際サンゴ礁保護区ネットワーク会議」を日本で開催します。

 地域での自律的な里地里山の保全再生の取組を促進する方策を検討するとともに、世界の自然共生の智慧や伝統等を収集・調査し、日本の取組と合わせて、地球全体での自然共生社会実現のために活用することを「SATOYAMAイニシアティブ」として世界に提案します。

 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約に基づき世界遺産一覧表に記載された屋久島、白神山地及び知床の世界自然遺産について、管理体制と科学的知見に基づく保全管理の充実を図り、引き続き適正な保全を推進します。

 また、平成15年の「世界遺産候補地に関する検討会」において知床とともに候補地に選定された「小笠原諸島」と「琉球諸島(トカラ列島以南の南西諸島が検討対象)」については、世界自然遺産推薦に向けた取組を進めていきます。特に、世界遺産暫定一覧表に記載されている小笠原諸島については、関係省庁・地方公共団体等が連携し、外来種対策や希少種の保全を一層推進していきます。



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