第4章 廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策

第1節 概要

 平成19年度に見直しを行った第2次循環型社会形成推進基本計画について、同計画に基づく施策の進ちょく状況の点検を実施します。

1 廃棄物等のリデュース(発生抑制)

 サプライチェーン全体の資源投入量の更なる低減を図るため、資源の有効な利用の促進に関する法律(以下「資源有効利用促進法」という。)や産業構造審議会廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定・フォローアップ等によって、事業者による製品の軽量化・長寿命化を図る設計・製造や修理体制の充実や製造工程の改善、サプライチェーン事業者間の連携を通じた製造工程で発生する副産物量の削減等による発生抑制(リデュース)対策等を推進します。

 また、廃棄物等の発生の少ない製品やリサイクル可能な製品など、環境への負荷の少ない製品の積極的な購入及び市場への普及を進めるため、国等の公的機関が率先してグリーン購入を推進するとともに、グリーン購入に率先して取り組む企業、行政、消費者団体等各主体から成るグリーン購入ネットワークの活動の積極的支援や3R配慮情報の消費者への提供を進めます。

 特に一般廃棄物については、ごみ処理の有料化を進めるに当たっての留意事項に関する考え方や、検討の進め方を示す「一般廃棄物処理有料化の手引き」の普及を行うことにより、有料化を行う市町村の取組を支援します。

 さらに、改正後の容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包装リサイクル法」という。)に基づき、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するため、容器包装廃棄物排出抑制推進員(愛称:3R推進マイスター)を活用した消費者への普及啓発や小売業者によるレジ袋等の排出抑制の促進を図ります。また、地域モデル事業や各種表彰を実施するほか、簡易包装の推進に取り組みます。

2 循環資源の適正な循環的な利用の推進

(1)廃棄物の処理及び清掃に関する法律について

 再生利用認定制度及び広域認定制度に基づき、廃棄物の再生利用及び拡大生産者責任の下での適正処理の一層の促進に取り組みます。


(2)資源有効利用促進法について

 資源有効利用促進法や産業構造審議会廃棄物処理・リサイクルガイドラインにおいては、事業者による部品等の再使用が容易な製品設計・製造や回収した製品からの部品等の再使用(リユース)対策、製品の原材料としての再生資源の利用の促進等のリサイクル対策、事業者による使用済製品の自主回収・リサイクル対策、消費者への情報提供による更なる回収の促進、生産工程の合理化等による工場等で発生する副産物(スラグ、スラッジ等)のリサイクル対策などの取組を促進します。


(3)容器包装リサイクル法について

 容器包装リサイクル法については、容器包装廃棄物の分別収集及び再商品化の実施等が促進されるよう、同法に基づく制度の円滑な推進に取り組みます。さらに、改正後の容器包装リサイクル法に基づき、容器包装廃棄物に係る効果的な3Rの推進、リサイクルに要する社会全体のコストの効率化、国・自治体・事業者・国民等すべての関係者の連携を図ります。

 このほか、再商品化義務を履行しない事業者に対する指導、いわゆるただ乗り事業者対策を推進します。


(4)家電リサイクル法について

 特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「家電リサイクル法」という。)については、中央環境審議会・産業構造審議会合同会合において取りまとめられた報告書に示された消費者による廃家電の適正排出促進、不法投棄対策の強化、対象品目の追加等の措置を実施します。

 また、上記報告書を踏まえ、小売業者による引取り、引渡し及び家電リサイクル券の管理並びに製造業者等による引取り、再商品化(リサイクル)及び家電リサイクル券の管理が適正に行われるよう、法の実効性を確保するための必要な措置を講じます。

 さらに、広報活動等を通じて同法の理解をより一層深める取組を進めるとともに、不法投棄の実態把握や投棄防止のために各地域の取組に関する情報提供を引き続き実施していきます。


(5)建設リサイクル法について

 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称「建設リサイクル法」という。)については、社会資本整備審議会・中央環境審議会の合同会合において、制度の評価・検討を行います。また、平成20年3月に、社会資本整備審議会・交通政策審議会の建設リサイクル推進施策検討小委員会においてとりまとめられた最終報告書を受け、新たな建設リサイクル推進計画を策定します。


(6)食品リサイクル法について

 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)及び関連する政省令等が改正されたことを踏まえ、食品廃棄物等の発生量が一定規模以上の食品関連事業者に対する定期報告の義務付け等指導監督の強化、新たな再生利用事業計画認定制度を通じた再生利用等の円滑な取組等を推進します。

 また、食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、食品リサイクル製品に対する評価・認証の仕組みやルール作りを構築するとともに、新たな食品リサイクル制度の普及啓発、食品廃棄物を含むバイオマスの利活用を図ろうとする地域に対する施設整備の支援等を実施します。


(7)自動車リサイクル法について

 新車・中古車販売業者、整備業者、解体業者、破砕業者等の関係団体とも連携を図りつつ、各関係事業者における使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号。以下「自動車リサイクル法」という。)の理解を深めるとともに、自動車所有者に対する普及・啓発活動を行います。

 また、関係省庁及び地方自治体と連携して、同法における違法行為や不適正行為の是正に向け、監視・指導を強化し、関連事業者等の法遵守の徹底や、同法の円滑な施行に取り組みます。

 さらに、同法に基づきシュレッダーダスト等の適正なリサイクル等が確保されるよう、引き続き、法の実効性を確保するために必要な措置を講じます。

 使用済自動車の引渡しに支障が生じている離島地域市町村に対する必要な費用の支援については、引き続き効率的な実施を確保するとともに、地方自治体が使用済自動車等の不法投棄等による生活環境保全上の支障の除去を実施する場合に必要な費用に対する支援事業を実施します。


(8)バイオマス・ニッポン総合戦略の推進

 「バイオマス・ニッポン総合戦略」(平成18年閣議決定)に基づき、情報提供やシンポジウムの開催等を通じた国民的理解の醸成、バイオマスの効率的な利活用が可能となる研究開発、未利用バイオマスの活用等によるバイオマスタウンの構築に資する人材育成、バイオマスの変換・利用施設整備等を実施します。

 特に、国産バイオ燃料については、平成19年2月に関係府省(1府6省)から成る「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」において作成した、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表に基づき、関係府省が連携して、生産拡大に向けた取組を推進します。

 具体的な取組として、農林漁業者等とバイオ燃料製造業者が共同して原材料生産と燃料生産を行う取組及びバイオ燃料に関する研究開発の促進を図ることを目的とした「農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律案」を第169回国会に提出したところです。また、食料自給率の低い我が国において、食料供給と競合しない稲わら等のソフトセルロースを原料として、収集・運搬からバイオ燃料を製造・利用するまでの技術実証を一体的に行い、ソフトセルロースの利活用技術を確立します。

 さらに、平成20年度税制改正において、バイオエタノール混合ガソリンに係るガソリン税(揮発油税及び地方道路税)の軽減措置、バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置を創設し、バイオ燃料の生産・利用拡大を図ります。

 このほか、地域のバイオマスを効率的に利活用するバイオマスタウンを22年度までに300地区程度構築することを目指し、バイオマスタウン構築を推進します。


(9)都市再生プロジェクトの推進

 首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会、中部圏ゴミゼロ型都市推進協議会、京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、中長期計画を踏まえ、進ちょく状況の点検、新たな課題の検討を行うなど、フォローアップを行います。


(10)総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組

 循環資源取扱支援施設の整備等を行う総合物流静脈物流拠点港(リサイクルポート)の形成を推進することにより、海上輸送による効率的な静脈物流ネットワークを構築し、循環資源の全国規模での広域的な流動を促進するとともに、臨海部においてリサイクル産業の立地を促進します。また、国内の静脈物流システムとも連携を図りながら、効率的な国際静脈物流システムの構築に向けた取組を推進します。


(11)ゼロ・エミッション構想の推進

 ゴミゼロ型の地域社会づくりに向けて、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を推進します。


(12)その他の取組について

 下水道事業で発生する汚泥については、固形燃料化や消化ガス化によるエネルギー利用や、緑農地利用、建設資材利用等の有効利用を推進します。

 農業集落排水事業においては、処理過程で発生する汚泥についてコンポスト化や建設資材利用等によるリサイクルを推進するとともに、地域の実情に応じて余剰汚泥の減容化を進めます。

 さらに、水産系副産物である貝殻の再資源化により資源の循環的利用を推進します。畜産業において発生する家畜排せつ物については、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(以下「家畜排せつ物法」という。)に基づき、適正な管理を徹底するとともにたい肥化を中心とした利活用を推進します。

3 廃棄物の適正な処理の推進

(1)一般廃棄物対策

 地域における循環型社会づくりのための社会資本整備を加速させるため、広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進する「循環型社会形成推進交付金制度」の改善、強化を図ります。

 また、国全体として3Rに重点を置いた最適なリサイクル・処理システムを構築していくための施策の一つとして、一般廃棄物処理事業に係るコスト分析の標準的手法を示す「一般廃棄物会計基準」、一般廃棄物の標準的な分別収集区分やエネルギー回収、最終処分等の処理の考え方を示す「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」の普及を行い、市町村の3R化改革に対する技術的支援を実施します。

 さらに、改定された「廃棄物処理施設整備計画」に基づき、廃棄物処理事業の3R化を進めていきます。

 また、地球温暖化対策として、3Rの推進による焼却量の抑制を図りつつ、燃やさざるを得ない廃棄物からのエネルギーを有効活用する廃棄物発電やバイオマスエネルギー活用により、化石燃料の使用量の抑制を推進します。

 廃棄物系バイオマスについては、分別手法、収集・運搬を含めた利活用のシステム全体について有効な手法をパターン化するため、有効であると考えられる利活用の手法についてモデル地域における実証を行い、廃棄物系バイオマスの大幅な利活用の促進を図ります。


(2)産業廃棄物対策

 産業廃棄物問題解決に向け、未然防止や廃棄物処理システムの透明性の向上を推進し、さらに、循環型社会の構築に向けて、優良な処理業者の育成や行政における体制整備・対処能力向上を進めるとともに、電子マニフェストの普及促進を行います。

 PCB廃棄物や石綿を含む廃棄物等について、必要な体制の整備を行い、確実かつ適正な処理を推進します。

 適正な産業廃棄物処理施設の整備に関しては、廃棄物処理センター等公共関与による産業廃棄物処理施設の整備促進を図ります。

 産業廃棄物の不法投棄対策については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)による規制を厳格に行い、不法投棄の撲滅に向け断固とした姿勢で臨みます。不法投棄対策を総合的・多角的に進めるため、引き続き、専門家チームの派遣による都道府県等のスキルアップ支援、地方環境事務所と都道府県等との連携の強化等を行います。さらに、硫酸ピッチの不適正処分の防止については、引き続き、関係機関との連携等を図ります。また、平成19年度設定した「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」を実施し、国と地方公共団体等が連携した監視活動や普及啓発活動等を行っていきます。平成10年6月以降に不法投棄等された産業廃棄物に起因する生活環境保全上の支障の除去等については、引き続き、廃棄物処理法に基づき、支障の除去等を自ら行う都道府県等に対して財政支援を行っていきます。これ以前の不適正処分に対しては、都道府県が行う支障除去等事業に関して、産廃特措法に基づく措置を講じていきます。

 なお、平成9年の改正廃棄物処理法の施行から10年が経過し、附則に定められた施行状況の検討時期を迎えたことから、制度について評価・検討を行います。


(3)廃棄物の処理における環境配慮等

 港湾における廃棄物埋立護岸について、東京湾等において整備を行います。さらに首都圏の建設発生土の有効利用を図るため、海上輸送により全国の港湾整備等において広域利用するスーパーフェニックス事業を広島港等において実施します。

4 国際的循環型社会構築への取組

(1)3Rイニシアティブの推進

 2008年(平成20年)5月のG8環境大臣会合や7月の北海道洞爺湖サミットも念頭に、議長国として3Rイニシアティブ推進に向けた国際的議論を主導するとともに、それらの成果も踏まえ、3Rに関する技術移転及び3Rに関する研究ネットワークの形成の推進や、東アジア循環型社会ビジョンの策定に向けた調査を実施することで、国際的な循環型社会の構築に向けた取組においてリーダーシップを発揮していきます。


(2)有害廃棄物の越境移動の規制

 有害廃棄物等の輸出入等の規制を適切に実施するため、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(以下「バーゼル法」という。)及び廃棄物処理法の適切な施行及び運用を行います。

 バーゼル法等の周知のため、説明会を全国主要都市で開催します。また、廃棄物等の不法輸出を水際で防止するため、輸出申告された法令違反疑義貨物について検査立会や定期的な意見交換を実施し、税関との連携を強化します。

 アジア各国に対しては、有害廃棄物の不法輸出入防止に関するアジアネットワークによる情報交換を引き続き行うとともに、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約事務局と連携し、アジアにおけるE-waste対策を推進します。



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