現在、様々な取組が進められていますが、ここでは、特定非営利活動法人持続可能な社会を作る元気ネット(元気なごみ仲間の会)が主催する「市民が創る環境のまち『元気大賞』」、並びに、3R推進協議会が主催する「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」において表彰された、民間団体レベルにおける先進的な取組の例をご紹介します。
(1)市民が創る環境のまち「元気大賞」
元気なごみ仲間の会は、平成13年度から「市民が創る環境のまち『元気大賞』」を創設し、全国各地域で先進な取組を行っている団体を表彰しています。
ア 「市民が創る環境のまち“元気大賞2007”」
○大賞
<プロジェクト:『場所文化レストラン「とかちの…」オープン―「場所文化イチバ」の実現に向けてのファーストステップ―』団体名:場所文化フォーラム(東京/十勝)>
大都会と地方の新たな関係を築き、持続可能な国づくりを実現するために、地方の元気を取り戻し、真に豊かな国を構築するプロジェクトとして 場所文化レストラン「とかちの…」を東京・丸の内にオープン。単なる産直飲食店にとどまらず、地方と都市の新たな交流を創出する拠点となり、さらに他地域や複数地を束ねた場所文化イチバの実現へと展開中です。
○奨励賞
<プロジェクト:『人と自然にやさしい農業をめざして』団体名:茂木町役場(栃木)>
人と自然にやさしい農業をめざし、不用とされていた廃棄物や未利用資源(生ごみ、家畜排泄物、落ち葉、もみ殻、おがこ)を町ぐるみで収集、良質な堆肥を製造販売。地域資源を循環しながら、「環境保全型農業の推進」「ごみのリサイクル」「森林保全の推進」「農産物の地産地消の推進」を総合的に推進しました。
○奨励賞
<プロジェクト:『東本願寺御修復環境プロジェクト/東本願寺と環境を考える市民プロジェクト』団体名:真宗大谷派・東本願寺(京都)>
世界最大の木造建造物である「御影堂」の御修復工事において、瓦の再資源化、仮設素屋根への太陽光パネルや雨水タンクの導入など、環境配慮型の工事を推進。また、地域住民や環境NPOと協働して「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」を組織し、境内庭園やお堀を活用したイベントを開催するなど、地域社会における環境問題への取り組みを実施しました。
(2)リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰
3R推進協議会では、毎年10月のリデュース・リユース・リサイクル推進月間に、関係府省連携の下、3R推進功労者等表彰式を開催し、3Rの推進に貢献している個人、グループ、学校、事業所等を表彰しています。ここでは、平成19年度に大臣賞を受賞した民間団体等の取組事例を表彰します。
○茨城県立土浦湖北高等学校家庭クラブ
<平成19年度文部科学大臣賞>
テーマ:『校内のゴミ分別徹底・3Rを実行し、地球環境を守ろう』
校内で排出されるごみの分別の徹底を実施。さらに、校内の落ち葉や生ゴミを堆肥化し、無農薬野菜等を育て校内利用し、堆肥化に適さないものは古着の染色等に利用する等、排出されたごみを資源として再利用する様々な取組を教育現場で実施。
○特定非営利活動法人 スペースふう
<平成19年度環境大臣賞>
テーマ:『リユース食器利用により、ゴミを出さないイベントを提案』
「ゴミを出さない祭りをつくろう!」「使い捨て食器NO!」をキャッチコピーに、イベント時に従来の使い捨て食器に替わるリユース食器のレンタルシステムを構築。サッカースタジアム等においてはリユースカップを導入。現在では、年間45万個以上のリユース食器が導入され、使い捨て食器ゴミの減量化に貢献。さらに全国の市民団体等の協力を得て、全国5ヶ所に拠点営業所を作り、「使い捨て食器NO!」運動を展開中。
「箸」から始める環境への取組
今、箸を取り巻く状況は大きく変わってきています。飲食店やコンビニエンスストアなどを中心に使用されている割り箸の国内使用量は年間で約250億膳にも上り、国民1人当たり約200膳を使っている計算になります。この内、国産の割り箸生産量は全体のわずか約2%であり、残りの約98%は輸入に頼り、さらにその99%は中国から輸入しています。主要な輸入元である中国国内の資源保護意識の高まりなどにより、輸入割り箸の価格が高騰しつつあり、日常生活に身近で、大量に消費される割り箸は、無料で際限なく使用可能なものではなくなってきています。
一方、繰り返し使えるリユース箸だけでなく、個人が携帯する「マイ箸」や、国産の間伐材や国産のスギ・ヒノキ等の製材時に出る端材から製造された割り箸が改めて見直されており、箸の多様化とも言える現象が進んでいます。
このような状況の中、外食産業のA社は、マイ箸を持参したお客に対するポイントサービスの実施、店頭でのマイ箸販売やマイ箸の保管を行うサービスに取り組むなど、マイ箸推進への取組を積極的に展開しています。この取組によって、お客や従業員の環境に対する意識の高まりに加え、常連客の確保による売上の向上などの効果も見られています。
コンビニエンスストアのB社は、「木づかい運動」(※)の一環として店頭にて国産材を原料としたマイ箸及び国産の間伐材を使用した割り箸(5円の木づかい箸)を販売しています。利用価値が低く用途が限られている間伐材や端材を割り箸に利用することは、資源の有効活用であり、多様な生物が生息し温室効果ガスの吸収源でもある我が国の森林を整備・保全することにもつながります。私たちは、割り箸も原材料や産地によっては、環境負荷の高い使い捨て商品ではないことを認識した上で、マイ箸やリユース箸とともに、森林整備・保全にも役立つ国産材を利用した割り箸などを好みや状況に応じて選択していくことが必要です。
(※)林野庁による、国産材を利用した製品の積極的な使用を呼びかける国民運動
このように、箸を使う「消費者」側の取組も、環境負荷の低い社会づくりには不可欠です。取組にあたっては、環境のためだけでなく、自分の「こだわり」の実現や、「おしゃれ」を楽しむという面も有しています。
特定非営利活動法人ECO LIFE NETWORKサイクリングでは、端材から箸を作るワークショップを提供しています。参加者がナイフを使って、世界で一つだけの「マイ箸」を作ることで、「愛着をもって、大切に長く使うことができる」といった声も多く聞かれています。
このように、箸を含めた環境に関する取組事例が出てきていますが、一般的な取組状況はどうなっているのでしょうか。
「循環型社会形成に向けた意識・行動の変化」というアンケート調査の結果では、環境に対する意識は高いものの、それが必ずしも具体的な行動に結びついていない状況にあると言えます。
その一因に、「環境への取組は面倒くさい」という人や、「環境問題に対する意識があっても具体的に何をしたらいいか分からない」という人が多いと考えられます。
「おしゃれ」や「こだわり」の一つとしてのマイ箸携帯や、森林整備・保全にも資する国産材割り箸の選択など、日常生活に欠かすことのできない「箸」から、環境への具体的な取組を始めてみてはいかがでしょうか。
(循環型社会基本計画第3章第2節「取組指標」より一部抜粋)
■3R全般に関わる意識
○廃棄物の減量化や循環利用に対する意識
・ 「(いつも・多少)ごみを少なくする配慮やリサイクルを心懸けている」:79%
・ 「ごみの問題は深刻だと思いながらも、多くのものを買い、多くのものを捨てている」:7%
○グリーン購入に対する意識
・ 「(いつも・できるだけ・たまに)環境にやさしい製品の購入を心懸けている」:86%
・ 「環境にやさしい製品の購入をまったく心懸けていない」:11%
■3Rに関する主要な具体的行動例
○Reduce
・ 「簡易包装に取り組んでいたり、使い捨て食器類(割り箸等)を使用していない店を選ぶ」:12%
・ 「マイ箸を携帯して割り箸をもらわないようにしたり、使い捨て型食器類を使わないようにしている」:7%
産業界は、日本経団連の呼びかけに対応し、環境自主行動計画の策定等を通じて、循環型社会の形成に向けて、産業廃棄物処分量の削減をはじめ3Rの一層の推進に自主的かつ積極的に取り組んでいます。
その一環として、日本経団連では、1999年(平成2年)12月、産業界全体の目標として「2010年度(平成22年度)における産業廃棄物最終処分量を1990年度実績の75%削減する」(第一次目標)を掲げました。産業界は様々な努力を行った結果、2002年度に第一次目標を前倒しで達成し、その後も連続して目標を達成したことから、2007年3月、「今後、経済情勢等の変化にかかわらず、産業廃棄物最終処分量を増加に転じさせない」との決意の下に、2010年度における目標値を1990年度実績の86%減という目標(第二次目標)に改定しました。
日本経団連では、産業界の自主的な取組を推進するとともに取組の透明性を高めるために業種毎の取組み状況を毎年度フォローアップしています。2007年度調査結果によると、2006年度の産業界全体の産業廃棄物最終処分量は873万トンと、1990年度比で約85.2%減を実現しました(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/010/index.html)(表4-4-1、図4-4-1、図4-4-2)。
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