5 リスクコミュニケーションの推進
化学物質やその環境リスクに対する国民の不安に適切に対応するため、これらの正確な情報を市民・産業・行政等のすべての者が共有しつつ相互に意思疎通を図るというリスクコミュニケーションを推進しています。
環境省では、情報の整備のため、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」、「化学物質ファクトシート」の作成・配布や、化学物質の情報データベースや化学物質と環境に関する学習関連資料データベースのホームページでの設置などを進めています。平成17年8月には、身近なところから排出される化学物質について、市民が自らの生活と関連付けて考え、一人ひとりができる環境リスクの低減のための取組について考えるきっかけとなるよう、子どもにも親しみやすい小冊子「かんたん化学物質ガイド」を新たに作成・公表しました。また、「化学物質環境実態調査を読み解くための市民ガイドブック」を新たに作成・公表しました。さらに、これら関連情報を掲載した「リスクコミュニケーションホームページ」(http://www.env.go.jp/chemi/communication/)についても、17年8月に、市民向け、子ども向け、専門家向けのページに分けるなど、内容の整理を行い、デザインも一新しました。経済産業省では、化学物質のリスクコミュニケーションを効果的に行うため、化学物質のリスクの理解を助けるパンフレット「化学物質のリスク評価について−よりよく理解するために−」を作成・公表しました。また、事業者と市民が円滑なリスクコミュニケーションを展開するための手がかりとなる市民向けリーフレット「化学物質 対話でリスクをへらしていこう」を作成しました。さらに、(独)製品評価技術基盤機構のホームページ上で化学物質の有害性や規制等に関する情報を総合的に検索できるシステムやリスクコミュニケーションのための情報の提供を行いました。
また、対話の推進には、対話を円滑に進める人材等が必要です。環境省では、化学物質アドバイザーの育成・活用を推進するため、研修・登録・派遣を行っています。平成17年度には、PRTR制度についての講演会講師等として延べ42件の派遣を行いました。市民が化学物質と環境に関する身近な疑問を持ったときにインターネット上で簡易に応答できるシステムの整備の一環として、17年度には、e-ラーニング機能の開発を行いました。
さらに、環境省では、場の提供として、市民、産業、行政等による情報の共有及び相互理解のための「化学物質と環境円卓会議」を継続的に開催し、そこでの議論の内容を広く公開しています。平成17年度には、地方でのリスクコミュニケーションの促進を支援するため、愛知・福島県と協力して計2回地方で開催し、合計4回開催しました。