第2節 環境保全上健全な水循環の確保
1 水環境に親しむ基盤作り
全国の河川において、都道府県の環境部局及び国土交通省地方整備局河川関係事務所の指導の下、一般市民の参加を得て、水生生物による水質調査を実施しました。平成15年度の参加者は85,907人となりました。また、16年度は、初めての試みとして、全国の市民団体が実行委員会を組織し、6月6日を中心に、全国のおよそ2,500地点で4,000名を超える市民が、身近な水環境の一斉調査を実施しました。
子供たちがホタルに関連して取り組んだ水環境保全活動を募集し、優れた活動に対して大臣表彰を行いました。「こどもホタレンジャー」と名付けて今年初めて行われたこの表彰では、島根県の法吉こどもエコクラブの地域を挙げて水環境を保全する活動が評価されて、大臣表彰を受けました。
水と親しむことのできる貴重な水辺である水浴場について、平成17年度の選定に向けて、従来からの水質や交通の便等に加え、環境教育や水生生物など、より幅広い観点を含めて評価すること等の「基本的な考え方」を検討しました。また、水辺空間再生施設整備事業を実施して、水環境と市民のより良いふれあいを確保するための場を整備しました。
2 環境保全上健全な水循環の確保
環境保全上健全な水循環機能の維持・回復を図るため、森林については、森林計画制度に基づき、育成複層林施業等による森林の整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めるなど適切な維持管理を進めました。また、雨水の貯留や地下水かん養等を通じた水循環の調整能力を有する水田等の農地の適切な維持管理を進めました。
河川等においては、水質、水量、水生生物、水辺地などの保全を進めるため、れき等を利用した浄化水路等の整備を行い、河川、湖沼等の自然浄化能力の維持・回復を図りました。また、特に水質汚濁の著しい場合は「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスII)」に基づき、市町村や地域住民等の取組と一体となって、河川事業、下水道事業を重点的に実施しました。また、ダム直下流の無水区間の解消等を行う「ダム水環境改善事業」などを実施し、本来の川の姿を目指して清流回復を図りました。このほか、流域別下水道整備総合計画等の水質保全に資する計画の策定や、下水処理水等の効果的な利用や雨水の適正な地下浸透の推進を行いました。海域においては、自然海岸、干潟、藻場、浅海域の適正な保全を推進するとともに、自然浄化能力の回復に資するよう、海岸環境整備事業、港湾環境整備事業等により人工干潟・海浜等を適切に整備しました。
厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省で構成する「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」では、地域の取組を支援するため、水循環系の現状について情報を共有・発信する「全国水資源評価」や「流域水情報」、地域の地下水管理や保全計画の支援のための「地下水管理手法」の検討や流量減少等が発生している身近な水域を対象とした「環境用水の確保方策」の検討などの施策を推進しています。
なお、「琵琶湖・淀川流域圏の再生」(都市再生プロジェクト第6次決定)については、関係省庁及び地方公共団体等からなる「琵琶湖・淀川流域圏の再生」協議会を設置し、生態系の保全・再生や流域水環境の再生について重点的な検討を行い、平成17年3月に琵琶湖・淀川流域圏の再生計画を取りまとめました。