2 国際協力の実施等に当たっての環境配慮
(1)ODA及び輸出信用等における環境配慮
技術協力等を担当する国際協力機構(JICA)では、現行の環境配慮ガイドラインを改定するため、平成14年度より「JICA環境社会配慮ガイドラインに関する改定委員会」を設置し検討を行ってきましたが、16年4月に同委員会提言を踏まえる形で新ガイドラインを策定し、同月より施行しています。
国際協力銀行(JBIC)においては、円借款事業と輸出信用等に共通して適用される「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を策定し、平成15年10月より完全施行するとともに、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインに基づく異議申立手続要綱」を同月より施行しています。
輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)では、「貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン」を平成15年10月から実施するとともに、「貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン異議申立手続等について」と題する手続要綱を実施しています。
無償資金協力については、平成16年8月に、「無償資金協力審査ガイドライン」を作成し、同月より試行的に適用しています。本ガイドラインは、基本的にJICAの環境社会配慮ガイドラインを準用することとし、無償資金協力全体の審査のどの段階でどのようにJICAのガイドラインを適用するかについて示しています。
また、OECD開発援助委員会(DAC)では、途上国が開発政策に環境を統合して持続可能な国家戦略を作成する上での支援方策、及び途上国が地球環境関係の諸条約に対応する上での支援方策に関するガイドラインが策定されており、これらの普及に向けた検討が行われています。
環境省においては、平成16年度は、援助機関等の環境社会配慮ガイドラインの適用に当たって、途上国の事業実施主体等が直面する課題について検討しました。
(2)民間の海外事業に対する環境配慮
海外に事業展開する民間企業においても、環境問題に真摯に取り組むことが求められていますが、現地において積極的な環境対策を展開する日系企業も増えてきました。環境省においては、平成8年度から15年度にかけて(12年度を除く。)、在外日系企業の環境配慮活動の取組や経験に関する具体的な事例を国別に調査し提供してきました。16年度は、企業が対応を求められる社会的責任(CSR)への対応にかかる先進事例の収集を行い、企業の取組を促進するための行政施策の今後の方向性を検討しました。