1 化学物質の環境リスク評価の推進
化学物質による人や生態系への影響を未然に防止するためには、多くの化学物質を対象に、その生産、使用、廃棄等の仕方に応じた、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれ(環境リスク)についての評価を行い、その結果に基づき適切な環境リスク対策を講じていく必要があります。
このため、化学物質の環境リスク評価のための知見を収集し、平成16年度に環境リスク初期評価等について第3次取りまとめを行いました。この中では、環境リスク初期評価を21物質を対象として行ったほか、生態リスクについては32物質を選定して初期評価を行いました。また、発がん性について4物質を対象とした定量的なリスク評価を実施しました。
その結果、発がん性については1物質、健康リスクについては2物質、生態リスクについては5物質が、相対的にリスクが高い可能性があり「詳細な評価を行う候補」と判定されました。
また、生態系に対する影響に関する知見を充実させるため、7年度から経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインを踏まえて藻類、ミジンコ・魚類等を用いた生態影響試験を実施しており、16年度は42物質について試験を行いました。
このほか、化学物質に関する暴露状況や感受性など小児等の特殊性を考慮したリスク評価手法の開発に向けて、アンケート調査等を実施しました。また、平成15年度に引き続き、小児等の環境保健に関する国内外の専門家を招いて国際シンポジウムを開催しました。