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第1節 

2 光化学オキシダント

(1)問題の概要
 光化学オキシダントは、工場・事業場や自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)を主体とする一次汚染物質が太陽光線の照射を受けて光化学反応により二次的に生成されるオゾンなどの総称で、いわゆる光化学スモッグの原因となっている物質です。強い酸化力を持ち、高濃度では眼やのどへの刺激や呼吸器に影響を及ぼすおそれがあり、農作物などにも影響を与えます。

(2)光化学オキシダントによる大気汚染の状況
 ア 環境基準の達成状況
 平成15年度の光化学オキシダントの測定局は、一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)は671市町村、1,166局で、自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)は25市町村、27局です。
 光化学オキシダントに係る環境基準(1時間値が0.06ppm以下であること)の達成状況は、極めて低く、一般局と自排局を合わせて、昼間(午前5時〜午後8時)に環境基準を達成した測定局及び1時間値の最高値が0.12ppm(光化学オキシダント注意報レベル)未満であった測定局数は、図2-1-2のとおりです。



 イ 光化学オキシダント注意報等の発令状況等
 平成16年の光化学オキシダント注意報の発令延べ日数(都道府県を一つの単位として注意報等の発令日数を集計したもの)は189日(22都府県)で、15年の108日(19都府県)と比べ、約75%増加しました(図2-1-3)。その発令延日数を月別にみると、7月が最も多く88日、次いで8月が38日でした。また、光化学大気汚染によると思われる被害届出人数(自覚症状による自主的な届出による。)は393人でした。



 地域ブロック別に注意報の発令延日数をみると、関東ブロックで125日となっており、全体の約66%を占めています(図2-1-4)。



 ウ 非メタン炭化水素の測定結果
 昭和51年8月中央公害対策審議会から「光化学オキシダントの生成防止のための大気中の炭化水素濃度の指針について」が答申され、炭化水素の測定については非メタン炭化水素を測定することとし、光化学オキシダントの環境基準である1時間値の0.06ppmに対応する非メタン炭化水素の濃度は、午前6〜9時の3時間平均値が0.20〜0.31ppmC(成分ごとに炭素原子数をかけて合算したppm値に相当)の範囲にあるとされています。
 平成15年度の非メタン炭化水素の有効測定局数は、229市町村322の一般局と、133市町村185の自排局でした。昭和53年度から継続して測定を行っている6一般局と6自排局の午前6〜9時における年平均値の経年変化は図2-1-5のとおりです。


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