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第5節 むすび 環境のわざと心で地球環境保全

 くらしの中で「環境のわざ」と「環境の心」を活かすことにより、変革が始まります。家電の省エネ率、自動車の燃費をはじめ、環境に資する日本の技術には世界最高水準のものがあり、このような「環境のわざ」が日本で、そして世界に広がれば、地球環境の保全に貢献することができるでしょう。また、古来自然を敬ってきた日本人の心は、美しい自然を味わいつつ健やかに豊かに暮らす持続可能なライフスタイルを生み出せる可能性があり、これを日本人全体に、そして他国の人々にも魅力的に提示できれば、世界の持続可能な発展に貢献することができるでしょう。
 一人ひとりが環境のわざと心を活かして行動しなければ、環境は保全できません。一方、一人だけの行動では、改善できる環境は小さなものかもしれません。だからこそ、個人、事業者、NGO、行政等の人々が家庭で、地域で、国全体で、また国境を越えて連携し、これらの協力の中でよりよい環境に向けた行動を進めることが望まれます。
 そのためにまず大切なことは、人々の関係を結ぶ情報です。例えば、環境に配慮した製品やサービスについて、環境の保全効果に関する情報が事業者、行政等から消費者に伝わることが、グリーン購入や環境配慮の投資等を進め、志のある事業者が作り出す「環境のわざ」を支援します。また、環境教育や自然とふれあう体験が「環境の心」を育み、それが事業者の作り出す「環境のわざ」を支えます。
 情報を共有し、さまざまな人々が支え合うことにより、お互いの信頼関係が生まれます。環境を良くするための誰かの行為が多くの人々に支持されることが、さらに多くの人の環境保全のための行動につながります。環境を守るくらしをみんなで築いていくことが社会経済に、環境を良くすることが経済を発展させ、経済の活性化が環境を改善するという環境と経済の好循環をもたらします。行政がさまざまな主体と連携し、環境を保全する行動を支援するとともに、環境に配慮した行動が利益につながるシステムを構築することも重要です。
 このような信頼と連携の中で、「環境のわざ」と「環境の心」を結びつけ、広めることにより、環境保全をバネにした新しい社会経済への発展、すなわち「環境革命」が始まると考えます。21世紀の世界が新しい発展を遂げるよう、「環境のわざと心」を、日本から生み出し、広げていこうではありませんか。

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