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第2節 

4 情報的手法の開発と普及

 情報的手法とは、事業活動や製品・サービスに関して、環境負荷等に関する情報を開示、提供することにより、市場経済の中に事業活動や消費活動における環境配慮行動を促進していこうとするものです。
 情報的手法については、事業者の自主性を尊重しながらさまざまな利害関係者間のパートナーシップの下で発展を図っていくことが大切です。このため、科学的知見の蓄積によって、環境負荷を適切に評価する手法の整備や、情報の円滑な流通、情報の比較可能性や信頼性確保のための基盤整備などを中心にして積極的な取組を進めます。

(1)情報開示・提供の手法
 ア 環境報告書
 さまざまな規模、業種を含め幅広い事業者に環境報告書の作成と公表の取組を広げていくため、ガイドラインの改訂、普及や表彰制度、データベースの提供などを通じた取組支援を引き続き行っていきます。
 また、環境報告書の普及促進と情報内容の充実など環境報告書の質の面での向上の同時達成を図るため、比較可能性や信頼性を向上するための手法としての環境報告書の第三者レビュー推進に向けた検討を引き続き進めます。

 イ 環境ラベリング
 購入者が、製品やサービスに関連する適切な環境情報を入手できるよう、環境ラベリングその他の手法による情報提供を進めていきます。このため、わが国唯一のタイプI環境ラベル(ISO(国際標準化機構)14024準拠)であるエコマーク制度について一層の充実を図ります。
 また、製品の定量的環境情報の開示を行う新たな環境ラベルについて検討を進めるとともに、グリーン購入の取組を促進する民間団体による情報提供の取組を促進します。
 さらに、事業者の自己宣言による環境主張であるタイプII環境ラベルや民間団体が行う情報提供の状況を引き続き整理、分析して提供するとともに、適切な情報提供体制のあり方について検討します。
 平成14年4月に運用を開始した、タイプIII環境ラベルである「エコリーフ環境ラベル」について、一般消費者にも容易に理解ができるように改良を加えるなどして、その普及を図ります。

 ウ 標準化の推進
 日本工業標準調査会(JISC)は環境配慮製品の普及のため、平成14年4月に策定した「環境JISの策定促進のアクションプログラム」に基づく環境JIS策定を推進するとともに、同プログラムに示されている「環境JIS策定中期計画」の毎年度の見直しを実施します。また、平成15年3月に策定した分野別環境配慮規格整備方針に基づき、規格(JIS)への環境側面の導入を推進します。

(2)評価の手法
 ア 環境パフォーマンス評価
 事業活動における環境への負荷の状況や環境対策の状況を適切に評価するため、事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン(平成15年3月改訂)について、その普及促進を図ります。

 イ 環境会計
 総合的なガイドライン(平成14年3月環境省改訂)等を通じて、一層の普及促進を図るとともに、発展途上にある環境会計の手法確立に向けた調査を引き続き実施します。また、国際的な環境会計の枠組みの形成に向けた議論に積極的に参画するとともに、アジア太平洋環境管理会計ネットワーク(EMAN-AP)を通じて環境会計の普及拡大に貢献します。
 平成14年6月に公表した「環境管理会計手法ワークブック」を活用して環境管理会計手法の普及、啓発を図るとともに、その内容についても、なお一層の充実を図ります。

 ウ ライフサイクル・アセスメント(LCA)
 資源採取から使用、廃棄に至るライフサイクル全体の環境負荷について、製品相互間の比較評価をするため平成13、14年度において開発したライフサイクルアセスメント(LCA)手法について、その適用に関する課題の整理を進めながら、特にエネルギー起源CO2を発生する各種製品の評価を行い、よりCO2発生量の小さい製品の開発、普及を促進します。
 また、製品やサービスに関して、投入される資源、エネルギー量と生産あるいは排出される製品、排出物のデータ収集、定量化などを行うインベントリ分析や、インベントリ分析の結果を各種環境影響カテゴリーに分類し、それを使用して環境影響の大きさと重要度を分析するインパクト評価の手法など、ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施のために必要な手法の開発を平成10年度から平成14年度まで行ってきましたが、その成果を用いた特定地域を限定しての環境負荷の測定・影響評価を行い、あわせて既存のデータの拡充・質的向上を図ります。さらに、国際的な枠組みの形成に向けた議論に積極的に参画します。

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