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第2節 

4 情報的手法の開発と普及


(1)情報開示・提供の手法
 ア 環境報告書
 さまざまな規模、業種を含め幅広い事業者に環境報告書の作成と公表の取組を広げ、関係者との意思疎通を促進していくため、「環境報告書ガイドライン(2000年度版)」及び「ステークホルダー重視による環境レポーティングガイドライン2001」の普及、環境レポート大賞による表彰や環境報告書シンポジウムの開催などを行ったほか、平成14年9月に環境報告書のデータベースをインターネット上に開設し、環境省ホームページから閲覧できるようにするなどにより、環境報告書への取組支援を行いました。
 また、環境報告書の普及促進及び情報内容の充実など環境報告書の質の向上を図るため、比較可能性及び信頼性を向上するための手法としての第三者レビューのあり方についても検討を行い、第三者レビューの基本的な枠組みや今後の課題などについて報告書を取りまとめました(「平成14年度環境報告の促進方策に関する検討会報告書」)。

 イ 環境ラベリング
 消費者が環境負荷の低い製品を選択する際に適切な情報を入手できるように、環境ラベルその他の手法による情報提供を進めています。わが国唯一のタイプI環境ラベル(ISO14024準拠)であるエコマーク制度ではLCA*の考え方に基づく新しい商品類型を整備しています。平成15年3月末現在、エコマーク対象商品類型数は64、認定商品数は5,486となっています。
 また、事業者の自己宣言による環境主張であるタイプII環境ラベルや民間団体が行う環境ラベル等の情報提供制度を整理、分析して提供するデータベースをインターネットのホームページ上に開設し、平成14年8月に本格運用を開始しました。
 なお、平成14年4月から、購入者に対して製品やサービスの環境情報を定量的に開示するタイプIII環境ラベルの運用が開始されました。
 さらに、日本のエコマーク、アメリカのグリーンシールなどの世界のエコラベルの実施機関が情報交換、基準の国際調和に向けた検討等のために設立した「世界エコラベリングネットワーク」に対し、情報交換等が円滑に実施されるよう、各国のエコラベルの化学物質の取り扱いに関する実態調査等を通じ支援を行いました。

 ウ 標準化の推進
 環境配慮型製品の普及等を目的として、わが国の標準化機関である日本工業標準調査会(JISC)は、平成14年4月に「環境JISの策定促進のアクションプログラム」を策定し、環境JISの推進に取り組んでいます。
 平成14年度は、環境JISの推進の一環として、「エコセメント」をはじめとして、シックハウス対策のための規格等、53件のJISの制定・改正及び4件のTR(環境情報:準JISとして位置づけられるもの)の公表・改正を実施しました。

(2)評価の手法
 ア 環境パフォーマンス評価
 事業活動に伴う環境への負荷やそれに係る対策の成果(環境パフォーマンス)を的確に把握し、評価する手法を確立するため、平成13年2月に公表した事業者の環境パフォーマンス指標(2000年度版)について、平成13年度に行った事業者による試行事業の結果を踏まえ、より事業者に利用しやすくするための検討を行い、「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン(2002年度版)」として改訂しました。

 イ 環境会計
 事業者による効率的かつ効果的な環境保全活動の推進に資する環境会計システムの確立に向けて、平成14年3月に公表した環境会計ガイドライン2002年版についての理解を容易にするため、平成14年6月に「環境会計ガイドブック2002年版」を公表したほか、環境保全コスト分類に関する手引書を作成するなどにより、事業者に対する一層の普及促進や実施支援のための取組を行いました。また、経営意思決定の際における環境保全と経済的側面を調和するための手法の開発を行い、「環境管理会計手法ワークブック」として平成14年6月に公表しました。さらに、環境会計の国際動向を把握するため、国連持続可能開発部環境管理会計専門家会合(UNDSDEMA−EWG)やアジア太平洋環境管理会計ネットワーク(EMAN−AP)などの国際的な議論に積極的に参画しました。

 ウ ライフサイクル・アセスメント(LCA)
 製品やサービスに関して、投入される資源、エネルギー量と生産される製品及び排出物のデータ収集、定量化などを行うインベントリ分析や、インベントリ分析の結果を各種環境影響カテゴリーに分類し、それを使用して環境影響の大きさと重要度を分析するインパクト評価の手法などライフサイクルアセスメントの手法を調査、研究しています。特に消費者が製品選択に利用可能なLCAを応用した意思決定手法について引き続き調査しました。

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