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第6節 

9 共通的事項等

(1)調査研究の推進
 わが国における自然環境の現況及び改変状況を把握し、自然環境保全の施策推進に必要な基礎資料を整備するため、第6回自然環境保全基礎調査として引き続き「植生調査」及び「種の多様性調査」を実施し、また平成14年度より新たに「生態系多様性調査」を開始します。「植生調査」では、わが国の自然環境の基本情報図である「現存植生図」の更新を引き続き行います。「種の多様性調査」では、わが国に産する野生動植物に関する全国的な分布の概況を把握することを目的として、特に大型哺乳類について、20年前の調査結果と比較を行うための調査を引き続き実施します。「生態系多様性調査」では、特に生物多様性の維持や水質浄化等の面で注目されている浅海域生態系について、生物相や生態系機能等に関する基礎的資料を収集し、重要な浅海域生態系を特定するため、重点的に調査を実施します。また、全国の生態系の変化状況を把握するため、概ね1,000か所を目標にモニタリングの設定等に着手します。
 また、自然環境や生物多様性に関する情報を収集・管理・提供する「生物多様性情報システム」により情報提供等の業務を引き続き行い、今後、さらにこれら自然環境データへのアクセスを容易にし、情報の流通を活発化させるために生物多様性情報流通管理システム(クリアリングハウスメカニズム)の構築を行います。
 さらに、生物多様性の保全、絶滅のおそれのある野生動植物の保護や鳥獣の保護管理対策の強化に資するため、調査研究を推進します。
 また、自然環境に配慮した河川管理の取組の一つとして、岐阜県の木曽川三派川地区に設置した世界最大規模の実験河川を有する自然共生研究センターにおいて、河川湖沼の自然環境保全・復元のための基礎的・応用的研究を行います。
 さらに、生態学的観点より河川を理解し、川のあるべき姿を探ることを目的として河川生態学術研究を実施します。

(2)民間環境保全活動の促進
 全国各地において推進されているナショナル・トラスト活動は、国民自らが募金活動を通じて土地の買い取り等を行い貴重な自然環境等を保全していくもので、国民主体の自然保護活動として極めて有意義なものであり、引き続き普及啓発等の施策を通じその一層の推進を図ります。
 自然公園における動植物の保護や美化思想の普及、事故の防止等利用の適正化のため、自然公園指導員を委嘱するとともに研修を実施し、利用指導の充実を図ります。
 また、国立・国定公園の保護管理、利用者指導、自然解説活動を広く国民の参加を得て実施するため、ボランティアの養成及びその活動に対する支援を行うための公益信託自然保護ボランティアファンドの発展・充実に努めます。
 「身近な生きもの調査(環境指標種調査)」を実施することにより、国民参加による身近な自然環境の状況の把握を行うとともに普及啓発を図ります。
 漁場環境保全対策事業を通じ、ボランティア団体等が海や干潟等で行う海浜清掃等の支援を行います。

(3)動物の愛護と管理
 平成13年1月に総理府から環境省に移管された「動物の愛護及び管理に関する法律」について、平成11年12月の「動物の保護及び管理に関する法律」の改正の趣旨を踏まえ、適切な運用を図ります。

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