1 環境投資の推進に向けた取組
(1)公共部門における環境投資の促進
ア 環境保全経費の活用
環境投資の重点的、効果的実施を図るための枠組みとして、予算編成に関連して行われている、関係行政機関の公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積り方針の調整(環境保全経費の見積り方針の調整)を活用することとします。そのため、環境保全経費の運用面のあり方について検討を行います。
イ あらゆる公共投資への環境配慮の織り込み
公共投資全般に環境配慮を織り込んでいくための枠組みの整備に努めます。このため、事業評価システムに環境を重要な視点として織り込むことを検討します。また、環境影響評価についてより良い技術手法の確立などのきめ細かい対応を行うとともに、戦略的環境アセスメント、環境マネジメントシステムなどの手法について検討を行います。
ウ 民間の資金やノウハウの活用に際しての環境配慮の織り込み
公共投資の分野においては、PFI(Private Finance Initiative、民間主導の公共サービス提供)をはじめとする民間の資金やノウハウの活用の可能性について模索されていることにかんがみ、そのような手法が活用される場合にも十分に環境配慮が織り込まれるよう、必要な措置について検討します。
(2)民間部門における環境投資の促進
ア 環境投資の将来の方向性の提示
投資環境についての予測可能性を高めることにより、企業の環境投資が適切な方向性と規模をもって実行されるよう誘導するため、可能な限り、環境投資に関係を持つ国の各種計画において環境投資の将来の方向性を提示します。
イ 環境利用のコストの市場への内部化
環境については、その性格上、全面的に市場にゆだねる場合には、環境利用のコストを正しく評価し、それぞれの利用に応じて適切なコストを支払うことを期待することは困難であり、その結果、本来必要と考えられる水準の環境投資が行われず、資源の配分のゆがみや不適切な使用が生じます。このような問題点を解決し、民間主体による環境投資を促進していくため、環境利用のコストの市場への内部化に努めます。
ウ 環境投資の促進のための環境整備
環境投資の促進のための環境整備を図るため、環境会計や環境報告書の作成・公表など企業における環境経営促進のプロセスの確立、環境投資の促進と関連する社会資本の整備、グリーン購入など需要面からの環境投資の促進、環境投資のための資金調達の円滑化が図られるための枠組みの検討、に取り組みます。
また、環境投資は、採算性の面で劣るものや資本の懐妊期間が長期にわたるもの、事業リスクの大きいものを含むことなどから、引き続き、「汚染者負担の原則」や貿易に関する国際的な取り決めなどを踏まえながら、環境投資のための支援の枠組みの適切な運用に努めます。
用語解説 環境投資
環境基本計画においては、持続可能な社会を構築していくためにあらゆる投資に環境配慮を織り込んでいくとともに、それを先導する役割を担うものとして、特に次のような分野における環境投資の積極的な推進を図ることとされています。
○資源・エネルギーの使用の削減、効率化、再生可能なものへの転換などのための投資
○持続可能な社会に関する技術開発、モニタリングのための投資
○環境負荷の低減、処理のための投資
○環境の維持、復元、創造及び健全な利用のための投資
なお、環境の恵沢を次世代に継承していくため、過去の社会経済活動に起因する環境負荷の累積、すなわち環境上の「負の遺産」についても、その解消を図るための取組を進めることとされています。