4 情報的手法の開発と普及
情報的手法とは、事業活動や製品・サービスに関して、環境負荷等に関する情報を開示、提供することにより、市場経済の中に事業活動や消費活動における環境配慮のインセンティブを組み込んでいこうとするものです。
情報的手法については、関係者の自主性を活かしながらパートナーシップの下で発展を図っていくことが重要です。このため、科学的知見の蓄積や環境政策を踏まえ、環境負荷などを適切に評価し、施策に反映し得る手法の整備や、情報の円滑な流通のための基盤整備など社会基盤的な性格を持つ部分の整備を中心にして積極的な取組を進めます。また、誤った情報により問題が発生する可能性も踏まえ、情報の信頼性を確保するための仕組みについても検討します。
(1)情報開示・提供の手法
ア 環境報告書
様々な規模、業種を含め幅広い事業者に環境報告書の作成と公表の取組を広げ、関係者との意志疎通を促進していくため、ガイドラインの策定や表彰制度などを通じた取組支援を引き続き行っていきます。
また、情報内容の充実など環境報告書の質の面での向上を図るため、環境会計や環境パフォーマンス評価のための指標について一層の検討を進めるとともに、第三者による検証や意見の付記など、信頼性を確保するための手法のあり方についても調査検討します。
イ 環境ラベリング
購入者が、製品やサービスに関連する適切な環境情報を入手できるよう、環境ラベリングその他の手法による情報提供を進めていきます。このため、エコマーク制度や省エネラベリング制度、国際エネルギースタープログラム制度について一層の充実を図ります。
また、製品の定量的環境情報の開示を行う新たな環境ラベルについて検討を進めるとともに、グリーン購入の取組を促進する民間団体による情報提供の取組を促進します。
さらに、事業者や民間団体が行う情報提供の状況を整理、分析して提供するとともに、適切な情報提供体制のあり方について検討します。
(2)評価の手法
ア 環境パフォーマンス評価
事業活動における環境への負荷の状況や環境対策の状況を適切に評価するため、事業者の環境パフォーマンスを評価するための指標について、引き続き、調査研究を進めます。
イ 環境会計
事業者による効率的かつ効果的な環境保全活動の推進に資する環境会計システムの確立に向けて、環境会計に関する総合的なガイドライン(平成12年5月環境庁策定)をさらに充実発展させるとともに、事業者に対する一層の普及促進や実施支援のための取組を行います。また、国際的な環境会計に関する枠組みの形成に向けた議論に積極的に参画します。
ウ ライフサイクル・アセスメント(LCA)
製品やサービスに関して、投入される資源、エネルギー量と生産あるいは排出される製品、排出物のデータ収集、定量化などを行うインベントリ分析や、インベントリ分析の結果を各種環境影響カテゴリーに分類し、それを使用して環境影響の大きさと重要度を分析するインパクト評価の手法など、ライフサイクル・アセスメント(LCA)の実施のために必要な手法を開発し、その確立及び普及を図ります。また、国際的な枠組みの形成に向けた議論に積極的に参画します。