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第3節 

1 物の生産・販売・消費・廃棄

(1)全般的な取組
 環境への負荷の評価手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)の技術的側面についての検討を行うなど、引き続き所要の調査、研究、情報提供を行いました。
 環境保全型製品の普及促進については、製品のライフサイクルの観点を盛り込んだエコマーク事業の指導育成を引き続き行うとともに、消費者及び事業者への普及啓発を図りました。
 また、容器包装廃棄物に関しては、容器包装リサイクル法*が平成12年度から完全施行され、飲料用紙パック、段ボールを除く紙製容器包装及びペットボトルを除くプラスチック製容器包装が新たに対象となることに伴い、消費者の分別排出及び市町村の分別収集の促進を図るため、平成11年7月から「容器包装識別表示等検討会」において容器包装の識別表示や材質表示が検討され、識別表示については法定化、材質表示については事業者の自主的な取組が望ましいとされました。
 これを踏まえ、平成12年5月、再生資源利用促進法*の一部が改正され、平成13年度から識別表示が義務化されることとなりました。
 地球温暖化防止に向けた取組の推進については、消費者のライフスタイルの視点から引き続き検討するとともに、環境家計簿を運動として広めていく取組を行っています。

*容器包装リサイクル法
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」平成7年6月16日法律第112号

*再生資源利用促進法
「再生資源の利用の促進に関する法律」平成3年4月法律第48号

(2)農林水産業に関する環境保全施策
 農業においては、環境と調和した生産が可能であるという農業本来の特質の発揮を通じた環境保全型農業の普及・定着に資するため、新たに土づくりと化学肥料・農薬の使用の低減を併せて行う持続性の高い農業生産方式の導入に率先して取り組む農業者等の活動に対する支援や、生産方式導入の拠点となる施設整備を行ったほか、生産者団体、流通・消費者団体等との連携体制の構築等を行いました。また、家畜排せつ物については「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づき、適正な処理と耕種農業におけるたい肥の流通・利用を促進するため、たい肥化施設等の処理施設等の整備を行うとともに畜産農家と耕種農家の情報を提供するたい肥需給マップの作成等を行いました。さらに、生産基盤等の総合的整備の際に環境保全林、緑地帯等の自然環境の保全を推進しています。
 林業においては、持続可能な森林経営及び地球温暖化対策の推進を図るため、造林、保育、間伐、育成複層林施業等の森林整備を促進するとともに、適正な保安林の配備及び維持管理に引き続き努めています。
 水産業においては、「持続的養殖生産確保法」に基づき、漁協等による養殖漁場の環境保全のための措置を講じました。また、つくり育てる漁業を推進するため、「海の畑づくり」として、沿岸域の藻場・干潟の造成、ヘドロのしゅんせつ等を実施するとともに、放流魚介類により自然界に生息する魚介類の遺伝的悪影響を生じさせないよう生態系保全型種苗生産技術開発事業を実施し、養殖漁場の環境指標の設定と簡便な測定手法の開発を実施するとともに内水面、海面における養殖業については、低コストで効果的な養殖場の環境改善システムの開発を行いました。さらに、環境保全型養殖のガイドラインの策定等を行うとともに、環境に負荷を与えない陸上における閉鎖循環式の養殖技術の開発を行いました。一方、「資源管理型漁業」を一層推進することにより、各地域の漁業実態に即した資源管理の実践の成果がより漁業経営に反映する取組を計画的かつ効果的に展開していくための事業を実施しました。

(3)製造業に関する環境保全施策
 製造業においては、適切な環境対策指導を行うほか、省資源・再資源化推進のための環境整備事業を行いました。また、中小企業の公害対策について、実態を把握するとともに、中小企業自身の研究開発を支援しています。
 食品産業においては、生産段階では、産業廃棄物管理票制度の普及推進、食品産業、農業生産、一般家庭等から発生する廃棄物を集約的に処理するエネルギー回収型資源循環システムを構築しました。流通段階では、外食産業から排出される生ゴミのコンポスト化、生産者との連携システムの普及活動の支援、食品販売業等から排出される食品残さ及び食品包装資材等のリサイクル化処理を行う施設の整備等を行いました。消費段階では、廃食用油を回収するリサイクルシステムのモデル地区の構成等を行いました。
 また、消費者の環境に配慮した食行動への取組促進のため、食生活指針の普及の啓発を行いました。
 さらに、これら各段階を通じ、共通的、基盤的対策として、環境対策の総合検討、環境ラベル・環境会計の普及・啓発、リサイクル情報の提供、推進指導体制の整備、容器包装廃棄物リサイクル対策等を行うとともに、食品産業から発生する有機性廃棄物の減量化技術・飼肥料化等有効利用技術及び食品容器包装リサイクル技術の確立のための事業並びに食品製造工程における省エネルギー化技術の開発をしました。
 また、平成11年度末の食品廃棄物リサイクル研究会における食品廃棄物リサイクルシステムの検討結果等を踏まえ、平成12年6月、食品リサイクル法*が成立しました。

*食品リサイクル法
「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」平成12年6月7日法律第116号

(4)建設業に関する環境保全施策
 平成8年度に建設業界の10団体により「建設産業環境行動ビジョン」を策定するとともに、これを受けた形で「建設業界の環境保全自主行動計画」を推進してきました。建設副産物については特に取組が重要であることから、平成9年に「建設八団体副産物対策協議会」(現建設九団体副産物対策協議会)を設置するとともに、平成10年度に『建設業界における「建設リサイクル行動計画」』を策定し、計画を推進しています。

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