1 廃棄物の現状
廃棄物処理に関する基本的な事項を定めた「廃棄物処理法*」によれば、廃棄物は大きく分けて、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油など19種類の「産業廃棄物」と、その他の廃棄物の「一般廃棄物」に区分され、一般廃棄物はさらに「ごみ」と「し尿」に分類されます。また、「ごみ」は商店、オフィス、レストランなどの事業活動によって生じた「事業系ごみ」と一般家庭の日常生活に伴って生じた「家庭ごみ」に分類されます。
*廃棄物処理法
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」昭和45年12月25日法律第137号
(1)一般廃棄物の現況
わが国では、平成元年度以降毎年年間約5,000万tの一般廃棄物が排出されています。排出量は図1-4-1のとおりここ数年横ばいの傾向が続いていますが、平成9年度は、総排出量5,120万t(平成8年度5,115万t)、国民1人1日当たり1,112g(平成8年度1,114g)となっています(図1-4-1)。
一般廃棄物については、市町村が定める処理計画に沿って処理が行われていますが、市町村が行った中間処理のうち、直接焼却処理された割合は78.0%(平成8年度76.9%)に上り、また、焼却以外の中間処理(破砕・選別による資源化、高速堆肥化等)の割合は13.4%(平成8年度12.8%)と年々増加しています。最終処分量は1,201万tで、前年に比べ108万t減少しました。
廃棄物処理施設の整備については、平成8年度を初年度とする第8次廃棄物処理施設整備計画に基づき、整備を行っています。一般廃棄物の最終処分場の残余年数は、平成9年度で全国平均11.2年となっています。
OECD加盟各国の一般廃棄物の排出量については、1975年(昭和50年)以降ほとんどの国で増加傾向にあります(表1-4-1)。
(2)産業廃棄物の現況
全国の産業廃棄物の総排出量については、ここ数年ほぼ横ばい傾向ですが、平成9年度は約4億1,500万tと前年度に比べやや増加しています(図1-4-2)。種類別では汚泥、動物のふん尿、がれき類が全体の約8割を占めており、また業種別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業、建設業、農業がそれぞれ約20%を占めています。産業廃棄物処理業者の許可件数は年々増加しており、平成10年度末時点で14万2,427件です。
処理状況については、最終処分量は約6,700万t(平成8年度6,000万t)で、総排出量に占める割合が前年度より2ポイント増加しました。
最終処分場の残余年数については、平成9年時点で全国平均3.1年で、一般廃棄物の最終処分場以上に厳しい状況にあります。特に首都圏(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県及び山梨県)での残余年数は0.7年で、特に厳しい状況にあります。
(3)回収・再生利用の推進
環境への負荷の低減のため、廃棄物の再生利用、再生資源の回収・利用を促進する必要があります。
市町村による資源化と住民団体による集団回収を合わせたリサイクル率(再生利用のための回収率)は、平成9年度は11.0%(平成7年度9.9%)にとどまっており、年々上昇しているものの依然低いレベルにあります。
個別のリサイクルの状況については、スチール缶の平成11年のリサイクル率は82.9%(平成10年82.5%)、アルミ缶の平成11年度のリサイクル率は78.5%(平成10年度74.4%)とそれぞれ増加してきています。また、ガラスびんについては、平成11年のガラスびんの生産量は197.5万tであり、そのうち原料として使用されたカレット(使用済びんを細かく砕いたもの)の量は149.8万tで、カレット利用率は78.6%となっており、カレット利用率は増加傾向にあります。平成10年の古紙の利用率は54.9%で、わずかながらも増加傾向にあります(図1-4-3)。
ペットボトルのリサイクルについては、2,000を超える地方公共団体でリサイクルが始まっており、また、平成8年のリサイクル率2.9%に対し、年々リサイクル率が向上しており、平成11年には23%となっています(ペットボトルリサイクル推進協議会調べ)。