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環境白書の刊行に当たって

環境大臣
地球環境問題担当

 平成13年版の環境白書をここに公表いたします。
 21世紀が幕を開け、広く環境の保全を任務とする環境省が新たにスタートを切りました。人類が将来にわたって地球上で生存していくためには、地球温暖化を始めとする環境問題に適切に対処することが不可欠となっています。
 このような環境問題の原因は、私たちの営む社会経済活動に根ざしたものです。政府が一体となって環境の視点を織り込んだ各般の施策を講ずることはもとより、社会のあらゆる主体が常に環境を考慮に入れて活動するよう、社会経済のあり方を改めていくことが必要です。 
 こうした課題に対応するため、政府は、全閣僚と各界からの有識者の方々にご参加いただいて、平成13年3月から「21世紀『環(わ)の国』づくり会議」を開催し、現在議論を深めているところです。
 本年の環境白書では、「地球と共生する『環(わ)の国』日本の実現を目指して」をテーマにしています。『環(わ)の国』とは、20世紀型の「大量生産・大量消費・大量廃棄の社会」に代わる「持続可能な簡素で質を重視する循環型社会」をイメージした言葉です。『環(わ)』は、わが国の伝統(和)にも通じ、環境や循環の「環」でもあります。また、人々が協働する「環」、人を含む生態系の「環」、日本と世界の「環」といった意味を込めています。地球と共生する『環(わ)の国』日本を実現することは21世紀の重要課題です。
 そうした趣旨から、白書ではまず、21世紀にわが国が目指すべき社会像と主な政策課題について基本的方向を示し、また、わが国の役割として、社会変革の実績を示しながら途上国支援などの国際貢献が望まれることを明らかにしました。次いで、それを実現するための方法として、地球の有限性に配慮した社会経済システムを構築すること、活発なコミュニケーションに裏付けられた各主体の参加、協働を促すこと、この二つの観点に着目して私たちの社会が進むべき具体像を描きました。
 本年の環境白書は、環境省となって初めてのものです。環境省の基本姿勢である環境問題の解決に向けて国民の皆さんと共に考え、共に取り組んでいくという趣旨に添って、環境からの恵みを将来にわたって享受するため、21世紀初頭私たちは何をしなければならないのか、行政はどのように対応しようとしているのかを可能な限り明らかにしようと心がけました。
 この白書が、環境問題についての国民の皆様一人一人の関心を高め、明るい未来を切り開く具体的な行動への参考となれば、これに過ぎる喜びはありません。

平成13年5月

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