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第4節 

1 循環

(1)大気環境について

ア 緩衝緑地
 公害の防止、緩和等のための緑地(緩衝緑地)、大気汚染公害の防止を目的とした緑地(大気汚染対策緑地)、廃棄物最終処分場等において、地球温暖化対策の観点から整備する緑地(地球温暖化対策緑地(土壌環境保全型))及び産業廃棄物処理施設周辺の生活環境の保全を目的として、産業廃棄物処理施設と一体的に整備する緑地(産業廃棄物処理施設・一体緑地)の整備を推進した。

(2)水環境の保全について

ア 環境保全上健全な水循環の確保
(ア)森林保全
 「森林整備事業計画」に基づき、水源涵養機能の高度発揮のための森林整備等とこれらに必要な林道整備を総合的に実施するなど森林保全整備事業を計画的に推進した。また、治山事業については、水源地域の機能強化を目的として、水資源の安定的な確保等に資するため複層林等の森林整備と治山ダム等の水土保全施設の一体的整備や、森林と渓流が一体となった良好な森林水環境の形成のための渓畔林の整備等を実施する水源地域整備事業を436か所について計画的に推進した。
(イ)河川等の浄化対策
 河川の水環境改善にかかわる事業として、汚泥のしゅんせつ、水環境改善用水の導入、河川水の直接浄化等の事業を「河川環境整備事業」として実施した。汚濁水と清浄水を分離し、流水の適切な保全を図る「流水保全水路整備事業」、湖沼内の汚泥のしゅんせつと湖周辺の環境整備とを一体的に実施する「レイクタウン整備事業」、ダム貯水池における濁水・富栄養化現象を防止・軽減するため、「ダム貯水池水質保全事業」及び「特定貯水池流域整備事業」を実施した。また、特に汚濁の著しい河川等においては、「水環境改善緊急行動計画」に基づき市町村や地域住民等の取組と一体となって河川事業、下水道事業を重点的に実施した。
(ウ)環境保全活動に密着した水辺環境等の整備
 住民に身近な水路、水辺の環境を整備する「身近な水辺環境再生事業費補助」(事業費3億5,700万円)などにより、積極的に水辺環境の整備を推進した。また、水質汚濁防止法に定める生活排水対策重点地域内の住民に身近な水路のうち、生活排水による汚濁が著しい3市町の水路において浄化施設の整備を行った。また、ヨシ等の水生植物を活用した水質浄化施設を3市において整備した。また、地下水を中心とした健全な水循環の確保を図るための地下水かん養施設、井戸・湧水周辺施設等を整備する「井戸・湧水復活再生事業費補助」(事業費5億7,000万円)を12市町村において実施した。
 自然を活用した水環境改善技術について、閉鎖性海域の沿岸等のフィールドにおいて実証施設を整備し、その技術の実用化についての検討した。
(エ)港湾の浄化対策
 東京港等5港において汚泥しゅんせつ等を実施したほか、横浜港、博多港等11港で海域環境創造事業(シーブルー事業)を実施した。
(オ)海域の環境整備対策
 一般海域における浮遊ごみ、油の回収船を東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海に配備しており、平成11年度も引き続き回収事業を実施するとともに、底質浄化のための覆砂を行った。さらに、海域浄化対策事業についても鳴瀬長浜海岸で実施した。

イ 水利用の各段階における負荷の低減
(ア)下水道事業
a 下水道事業
 下水道事業は生活環境の改善、浸水の防除、河川、湖沼等の公共用水域の水質保全、下水道資源及び施設の有効利用によるリサイクル社会への貢献等により都市のアメニティ向上等多方面にわたる役割を有しているが、我が国の下水道の整備状況は、平成10年度末処理人口普及率が58%にすぎず、いまだ十分な整備水準とはいえない状況にある。
 平成11年度は「第8次下水道整備七箇年計画」(総額23兆7,000億円)に基づき、普及が後れている中小市町村の下水道整備及び未着手市町村における新規着手の推進、水質保全のための高度処理の積極的導入を始め、大都市等における下水道の質的向上、下水処理水等の下水道資源の多目的活用を推進した。
 具体的には、緊急下水道整備特定事業を含む総事業費3兆1,439億円で、公共下水道(継続1,425か所、新規24か所)、流域下水道(継続126か所、新規2か所)、都市下水路(継続129か所、新規3か所)、特定公共下水道(継続3か所)及び特定環境保全公共下水道(継続867か所、新規31か所)等の事業を推進するとともに、新世代下水道支援事業制度に基づく各事業を実施するほか、特定水域高度処理基本計画等の各種計画の策定を推進した。
b 流域別下水道整備総合計画
 流域別下水道整備総合計画等の策定を推進するため、調査費1億8,900万円で調査を実施した。
c 技術開発及び調査研究
 下水道事業調査費9億円で、処理水及び汚泥の安全性を高めるための技術開発や、下水道施設のコスト節減のための総合的な技術開発を重点的に実施した。
d 日本下水道事業団
 地方公共団体等からの委託により終末処理場の建設事業等を実施するほか、下水道技術者の研修、技術検定及び下水道に関する技術開発、試験研究等を行った。また、広域的に下水汚泥を収集処理する下水汚泥広域処理事業(エースプラン)については、兵庫地域、大阪北東地域及び大阪南地域において事業を実施した。
(イ)合併処理浄化槽設置整備事業
 合併処理浄化槽は、農山村等の人口の散在した地域において特に有効な生活排水処理施設であり、平成9年度には約86,000基が整備された。また、市町村自らが設置主体となって、合併処理浄化槽を面的に整備する事業(特定地域生活排水処理事業)による生活排水対策の進展が図られた。
(ウ)農山漁村地域における水質保全対策
 都市と比べ立ち後れている農山漁村地域の生活環境の改善を図るため、農村地域では農業集落から発生するし尿や生活雑排水を処理し、処理水を農業用水として、発生汚泥を有機質肥料等としてリサイクルし、農業用用排水の水質保全等を図るとともに、公共用水域の水質保全に資する農業集落排水事業を1,744地区について実施した。また、山村地域において林業集落排水施設整備を推進するとともに、漁村地域では漁業集落排水施設整備を全国179地区で実施した。
(エ)廃油処理施設の整備
 千葉港において廃油処理施設の改良を引き続き実施した。

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