1 物の生産・販売・消費・廃棄
(1)全般的な取組
環境への負荷の評価手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)の技術的側面についての検討を行うなど、引き続き所要の調査、研究、情報提供を行った。
環境保全型製品の普及促進については、製品のライフサイクルの観点を盛り込んだエコマーク事業の指導育成を引き続き行うとともに、消費者及び事業者への普及啓発を図った。
また、ISOにおける標準化等国際的動向も踏まえつつ、製品の環境負荷に関する情報を消費者に提供する環境ラベルのあり方についての検討を行った。
廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の発生抑制、適正なリサイクル及び廃棄物の適正な処理を進めた。特に、平成12年度から完全施行されている容器包装リサイクル法については、新たに対象となった飲料用紙パック以外の紙製容器包装及びペットボトル以外のプラスチック製容器包装に関する再商品化手法や分別基準等を定めた。
地球温暖化防止に向けた取組の推進については、消費者のライフスタイルの視点から引き続き検討するとともに、環境家計簿を運動として広めていく取組を行った。
また、国の各行政機関が参考とする「物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リスト」を積極的に活用し、環境への負荷の少ない物品等の調達を推進するなど、国自らが事業者・消費者として引き続き環境負荷低減に努めた。
(2)農林水産業に関する環境保全施策
農業においては、農業が本来有する自然循環機能が十分に発揮され、農業の持続的な発展が図られるよう、たい肥等を活用した土づくりと化学肥料・農薬の使用の低減を一体的に行う農業生産方式の普及・浸透を図るため、第145回国会において成立し、10月25日に施行された「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づく支援措置とともに、先導的な地区の取組みに対する支援、たい肥化施設の整備等により、持続性の高い農業への総合的な転換を促進した。また、家畜排せつ物の適正な処理と耕種農業におけるたい肥の利用を促進するため、環境保全に関する農家指導及び耕種部門との連携、家畜排せつ物の処理利用施設の整備等を行った。さらに、生産基盤等の総合的整備の際に環境保全林、緑地帯等の自然環境の保全を推進した。
林業においては、持続可能な森林経営及び地球温暖化対策の推進を図るため、造林、保育、間伐、育成複層林施業等の森林整備を促進するとともに、適正な保安林の配備及び維持管理に努めた。
水産業においては、「持続的養殖生産確保法」に基づき、漁協等による養殖漁場の環境保全のための措置を講ずることとした。また、つくり育てる漁業を推進するため、「海の畑づくり」として、沿岸域の藻場・干潟の造成、ヘドロのしゅんせつ等を実施するとともに、放流魚介類により自然界に生息する魚介類の遺伝的悪影響を生じさせないよう生態系保全型種苗生産技術開発事業を実施し、養殖漁場の環境指標の設定と簡便な測定手法の開発を実施するとともに内水面、海面における養殖業については、低コストで効果的な養殖場の環境改善システムの開発を行った。さらに、環境保全型養殖のガイドラインの策定等を行うとともに、環境に負荷を与えない陸上における閉鎖循環式の養殖技術の開発を行った。一方、「資源管理型漁業」を一層推進することにより、各地域の漁業実態に即した資源管理の実践の成果がより漁業経営に反映する取組を計画的かつ効果的に展開していくための事業を実施した。
(3)製造業に関する環境保全施策
製造業においては、適切な環境対策指導を行うほか、省資源・再資源化推進のための環境整備事業を行う。中小企業の公害対策について、実態を把握するとともに、中小企業自身の研究開発を支援した。
食品産業においては、生産段階では、産業廃棄物管理票制度の普及推進、食品工場の有機性廃棄物を原料として生産される肥料等についての情報活用を推進するためのネットワークの構築、食品製造業及び地域から排出される各種廃棄物を効果的に集中処理するシステムの検討を行った。流通段階では、外食産業から排出される生ゴミのコンポスト化、生産者との連携システムの普及活動の支援、食品小売店等から廃棄される魚腸骨等の食品残さを処理する魚腸骨等食品廃棄物処理施設整備等を行った。消費段階では、廃食用油を回収するリサイクルシステムのモデル地区の構成等を行った。
また、消費者の環境に配慮した食行動への取組促進のための啓発を行った。
さらに、これら各段階を通じ、共通的、基盤的対策として、環境対策の総合検討、環境ラベルの普及・啓発、リサイクル情報の提供、推進指導体制の整備、容器包装廃棄物リサイクル対策等を行うとともに、食品産業から発生する有機性廃棄物の減量化技術・飼肥料化等有効利用技術及び食品容器包装リサイクル技術の確立のための事業並びに食品製造工程における省エネルギー化技術の開発を実施した。
加えて、食品産業における環境対策について、その総合的な推進を図るため、「今後の食品産業環境対策の推進の方向について」として環境対策ビジョンを策定した。
(4)建設業に関する環境保全施策
平成8年度に建設業界の10団体により「建設産業環境行動ビジョン」を策定するとともに、これを受けた形で「建設業界の環境保全自主行動計画」を推進してきた。建設副産物については特に取組が重要であることから、平成9年に「建設八団体副産物対策協議会」(現建設九団体副産物対策協議会)を設置するとともに、平成10年度に『建設業界における「建設リサイクル行動計画」』を策定し、計画を推進してきた。