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第2節 

5 水環境の監視等の体制の整備

(1)公共用水域等の監視測定体制の整備

ア 環境基準設定項目等の監視
 水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は公共用水域の水質の常時監視を行っている。そのために必要な経費のうち測定計画の作成費及び公共用水域の水質調査に係る経費について、平成11年度においても助成を行った。この水質調査の対象水域は、環境基準の水域類型の指定が行われた水域等水質監視の必要性の高い水域となっている。
 これに加えて、河川管理者の立場から、全国1級河川の主要な地点について、水質汚濁状況を把握するため、水質の測定を実施した。
 公共用水域の水質の常時監視体制の強化を図るためには、監視の自動化を推進する必要がある。平成11年度末現在、都道府県、政令市により157か所に水質自動監視測定装置が設置されており、その設置について助成を行っている。また、全国の1級河川の主要な水域についても、平成11年度末現在68水系152か所に水質自動監視測定装置を設置し、そのうち、148か所においてテレメータ化を図り、水質の集中監視を実施している。
 また、現在、pH及びDOに係る環境基準の測定方法として水質自動監視測定装置による測定が公定法化されているが、引き続きCOD及び全窒素・全燐についても、水質自動監視測定装置による測定の公定法化を図るため調査・検討を実施している。
 さらに、都道府県及び政令市における監視体制の強化を図るため、地方公害研究所等の水質分析機器の整備につき助成を行った。
 排水の監視については、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場、事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場、事業場に報告を求め又は立入検査を行っている。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場、事業場に行っている。
 また、関係地方公共団体において工場・事業場排水に関し水質テレメータ監視システムの整備が進められている。国は必要な経費について助成を行っている。

イ 要監視項目の監視
 平成5年3月に人の健康の保護に関する環境基準項目の追加等が行われた際に、人の健康の保護に関連する物質ではあるが公共用水域等における検出状況等から見て、現時点では直ちに環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断されるクロロホルム等の25項目について「要監視項目」と位置付け、継続して公共用水域等の水質の推移を把握することとした。平成11年2月には、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等3項目を健康項目に移行し、要監視項目を22項目とした。これらの要監視項目については、公共用水域等の水質測定を行っているほか、都道府県においても地域の実情に応じ、必要と考えられる項目について同様の測定が行われている。

(2)住民の協力を得た調査の実施

 全国の河川において、都道府県の環境部局及び地方建設局河川関係事務所の指導のもと、それぞれ59,464名(平成11年度)、14,023名(平成11年度)に及ぶ一般市民の参加を得て、水生生物による水質調査を推進した。

(3)地下水の監視測定体制の整備

 平成元年度の水質汚濁防止法の改正を受け、都道府県知事には地下水の水質汚濁の常時監視が義務付けられ、国及び地方公共団体は地下水の水質調査を行っている。調査の種類は、地域的な地下水の状況を把握する概況調査、概況調査等により新たに発見された汚染についてその汚染の範囲を確認する汚染井戸周辺地区調査、汚染井戸周辺地区調査により確認された井戸の継続的監視等、経年的なモニタリングを行う定期モニタリング調査の3つに分かれている。

(4)海洋環境保全のための監視・調査

 我が国周辺海域の海洋環境の現状を把握するとともに、国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、領海・排他的経済水域における生態系の保全を含めた海洋環境の状況の評価・監視のため、水質、底質、水生生物を総合的・系統的に把握するための海洋環境モニタリングを行った。
 また、海洋環境の保全のための基礎資料を得ることを目的として、我が国の周辺海域、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海洋汚染防止法」という。)に定めるA海域、閉鎖性の高い海域等において、海水及び海底堆積物中の油分、PCB、重金属等について海洋汚染調査を実施した。
 海洋における汚染物質の全般的濃度を把握するための海洋バックグラウンド汚染観測についても日本周辺及び西太平洋海域で実施した。

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