地球環境保全に関する調査研究については、平成10年7月に地球環境保全に関する関係閣僚会議が策定した「平成10年度地球環境保全調査研究等総合推進計画」に基づき、国際的な研究計画に参加・連携しつつ、自然科学研究はもとより、人文社会科学の視点からの研究を含め、多様な取組を積極的に推進した。また「地球環境研究総合推進費」制度の一環として、研究者を招聘して我が国の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の拡充を図った。
我が国が事務局を務めるアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、平成11年3月に神戸市で開催された第4回政府間会合でAPN戦略計画を策定するとともに、兵庫県の協力を得て、その機能を強化するためのAPNセンター(仮称)を神戸市内に設置することを決定し、推進基盤の充実・強化を図った。APNでは、地域内で実施するアジアモンスーンの変化に関する観測、人間・社会的側面からみた地球環境問題に関する研究、中国における研究トレーニングワークショップの開催等に対し支援を行った。
建設省では、地球環境の現状と変動の把握のための「地球地図構想」を提唱し、国際標準化機構(ISO)等と連携を図りつつ、平成10年度からアジア地域の一部で地球地図データ整備に着手した。
監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/政府間海洋学委員会(IOC)における全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)、全球気候観測システム(GCOS)及び全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加・連携して実施している。例えば、環境庁及び気象庁では、それぞれ沖縄県波照間島や東京都南鳥島等で温室効果ガスの測定を行っている。また、人工衛星による地球環境の観測・監視については、平成9年6月に機能を停止した地球観測衛星「みどり」の後継機として、平成12年度に打ち上げ予定のADEOS-?の開発に取り組んでいる。さらに、気象庁では、WMO/GAW計画の一環として、温室効果ガスデータの世界的な収集・管理・提供を行うWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)業務及びアジア・南西太平洋地域における観測データの品質を評価するWMO品質保証科学センター(QA/SAC)業務を行っている。
さらに、環境庁においては、アジア地域における環境測定分析に係る精度管理技術の向上を図るための支援事業を積極的に推進した。