2 エネルギーの供給・消費
経済活動のあらゆる局面がエネルギーに関係しており、その供給から消費の過程で各種の環境への負荷を発生することから、地球温暖化防止行動計画、地球温暖化対策推進大綱、大気汚染防止法等に基づき、環境への負荷の少ないエネルギー供給構造の形成、汚染物質排出等に係る規制的措置を適切に実施するとともに、エネルギー消費効率向上に向けた取組を進めた。
環境への負荷の少ないエネルギー供給構造を形成するため、安全の確保を前提とした原子力の開発利用等を進める一方、発電部門、都市ガス製造部門等のエネルギー転換事業部門におけるエネルギー効率の向上や、平成9年4月に制定された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」の着実な施行に努めた。本法等に基づき、太陽光発電・廃棄物発電・クリーンエネルギー自動車・コージェネレーション・燃料電池等の環境への負荷の少ない新エネルギーの技術開発・導入等を積極的に進めた。とりわけ、住宅用太陽光発電の早期市場自立化のための導入支援、先駆的な地方自治体における新エネルギー・省エネルギー導入支援、新エネルギー導入事業者に対する支援、クリーンエネルギー自動車の普及促進のための支援等を実施した。また、下水及び下水処理水の持つ熱を地域冷暖房等に活用する「熱利用下水道モデル事業」、未利用エネルギーを活用する熱供給システムの建設に対する支援等により未利用エネルギーの活用を進めた。
国自らの取組として、率先実行計画に基づき、事務所の単位面積当たりの電気使用量を平成7年度比で、平成12年度までに概ね90%以下にすることに向け努めた。
「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の改正を行い、同法に基づく政省令、判断基準等の整備や同法の着実な運用等により、工場・事業場のエネルギー管理の徹底、自動車・家電・OA機器等の省エネ基準のトップランナー方式の導入による大幅な引き上げ等を行った。
また、省エネルギー設備投資への支援、省エネルギーに資する技術開発を進めるとともに、省エネルギー型のライフスタイルはスマートなライフスタイルであるとの意識改革に向け、情報提供・普及啓発の一層の充実に努めた。9月からは、人々が自ら地球環境に優しいライフスタイルを工夫し実現するきっかけとすべく、サマータイム制度の我が国における導入について、「地球環境と夏時間を考える国民会議」を開催して国民的な議論を開始した。
平成10年6月に総合エネルギー調査会需給部会が「長期エネルギー需給見通し」を改訂し、COP3での国際的コミットメントを前提として、我が国のエネルギー・セキュリティ確保と適正規模の経済成長を実現するための国民各位の努力の在り方を示した。特にCO2削減との関係においては、現時点で最大限の対策が講じられた結果として、2010年度のCO2排出量の1990年度比安定化が実現されうるエネルギーの需要・供給両面の姿を描いた。