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第2節 

3 平成10年度における主な取組

(1) 検討課題への対応
 率先実行計画では、各省庁に共通した取組や目標のほか、取組の実施に際して検討が必要とされた課題が掲げられており、これらの課題について、計画策定以降関係省庁において検討を進めてきたところである。このうち、関係省庁の物品等の調達に当たって参考とするための、「物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リスト」(以下、「推奨リスト」という。)に関しては、紙類(情報用紙、印刷用紙)、OA機器(コピー機)、公用車等(自動車)の3分野4品目についての環境配慮のための情報を示した分野別ガイドライン(平成10年1月環境基本計画推進関係省庁会議決定)に基づき、個別製品リストへの掲載申請の受付を開始し、所定の条件を満たす製品を掲載した個別製品リストの初版を平成10年6月に作成し各省庁に配布し、公表した。分野別ガイドラインのうち、当面先行して実施することとされた3分野4品目に係る個別製品リストへの掲載条件(要旨)は、第3-2-4表 のとおりである。
 また、職員が業務に用いる共用自転車の導入可能性を検討するためのモデル実験(平成9年11月〜平成10年5月)の結果を踏まえ、平成11年2月に霞が関周辺地域の各省庁において自転車を導入し、省庁間等の移動への利用を開始した。


(2) 各省庁における取組の実施状況
 率先実行計画の実施状況については、各省庁が部局又は出先機関等適切な単位で把握したものを取りまとめ、環境白書等適切な方法により公表することとなっており、平成10年12月、平成9年度における各省庁の取組の実施状況を取りまとめ、公表した。
 これは、計画策定後、第3回目のものであり、用紙類の使用量など数値を伴う目標の実績数値のほか、計画に掲げた取組に関する各省庁の取組の実施状況を取りまとめたものである。その概要は、第3-2-5表 のとおりである。平成9年度の実績数値によれば、用紙類の使用量や事務所の単位面積当たりの上水使用量等のように、平成7、8年度の実績に比して一定の前進が見られ、平成12年度における目標数値の達成に向けて着実に進展しているものもあるが、事務所の単位面積当たりの電気使用量等のように平成8年度は前進がみられたものの平成9年度は増加に転じてしまったものもあり、また、公用車のうち通常の行政事務の用に供するものに占める低公害車の割合や、各事務所から排出される廃棄物の量とそのうちの可燃物の量等は、目標数値との乖離が非常に大きい状況となっており、政府として、平成12年度の目標達成に向けて、今後、さらに計画的に取り組む必要がある。
 また、平成10年度において各省庁が計画に基づき実施した取組の主なものは次のとおりである。
ア 財やサービスの購入・使用に当たっての環境保全への配慮
 物品等を調達する際には、推奨リストに係る個別製品リスト等を参考にして、環境への負荷の少ない製品等の調達を推進した。特に、コピー用紙については、多くの省庁で古紙利用率100%、白色度70%程度以下の製品の調達が行われている。また、すべての中央省庁の霞が関WANへの加入が完了したほか、多くの省庁で省庁内LANシステムの整備が進み、電子メール、電子掲示板等の利用によりペーパーレス化を推進した。さらに、低公害車の導入について、本年度の政府全体の導入実績は、天然ガス自動車8台、ハイブリッド自動車49台の計57台であった。この他の取組例としては以下のものがある。
(ア) ペットボトルの再生繊維を使用した作業服や制服の導入を実施又は試行。
(イ) 間伐材等利用状況の低位な原材料から作られた机等の製品の調達を推進するために、関係省庁の調達担当者に各種製品情報を積極的に提供。
イ 建築物の建築、管理等に当たっての環境保全への配慮
 小便器の自動洗浄設備の設置、インバーター制御機器・Hf型照明器具などの省資源・省エネルギー型の機器の採用を推進した。また、太陽光利用等の自然エネルギーを活用した発電や給湯システム等を積極的に導入するなど、エネルギー使用の合理化に配慮した施設の整備を推進した。さらに、敷地内等の緑化を計画的に推進するとともに、その適切な維持管理を図った。この他の取組例としては、環境配慮型官庁施設(グリーン庁舎)の整備を推進した省庁がある。
ウ その他行政事務に当たっての環境保全への配慮
 昼休みの全館一斉消灯、事務室等の空調の適温化(冷房28度程度、暖房19度程度)、公用車の利用抑制や使用の効率化等の取組により、エネルギー利用の節約等を推進した。また、各課室に分別回収ボックスを配置する等、事務室段階での分別回収を徹底するとともに、紙の使用量の抑制等による廃棄物の減量化を推進した。この他の取組例としては、郵政事業職員を対象としたテレワーク(テレワークセンター勤務方式及び在宅勤務方式)の試行を推進した省庁がある。
エ 環境保全に関する職員に対する研修等の実施
 率先実行計画に関する地方職員等を対象とした説明会への積極的な参加や、初任者研修、各種会議等の場の活用による職員の環境保全に関する意識啓発を推進した。また、ポスターの掲示、パンフレットの配付等による情報提供を行った。このほかの取組例としては、昼休みの事務室内の消灯状況について、各課分を毎月集計し、省内の会議の場で公表した省庁がある。

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