7 生物多様性の保全
「生物の多様性に関する条約」については、平成7年10月31日に地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定した我が国の同条約実施の基本方針及び施策の展開方向を示す「生物多様性国家戦略」に基づき、生物多様性の保全とその構成要素の持続的な利用に関する施策を推進した。また、平成9年12月には、同条約第26条に基づく第1回報告書を作成し、事務局へ報告した。
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)については、平成9年6月にジンバブエのハラレで開催された第10回締約国会議において、トラやクマの保全、野生生物の漢方薬利用等の議論について積極的に関与・貢献し、うち2つの決議の共同提案を行って、これらが採択された。また、第9回締約国会議で実施が決定し、今次会合で議論がなされた条約の見直しについては、引き続き作業部会のメンバーに選ばれ、今後の作業を続けていくこととなった。
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)については、引き続きアジア諸国の加盟促進に努めるとともに、湿地保全に関する人材養成や調査研究への協力など、同地域における協力体制の一層の強化を図った。
米国・豪州・ロシア・中国との間でそれぞれ締結されている二国間の渡り鳥等保護条約・協定については、日豪渡り鳥等保護協定に基づくプロジェクトとして、平成9年2月から衛星発信機を利用したホウロクシギの渡りルート解明等に関する共同調査を開始した。
サンゴ礁の保全については、国際的枠組みである国際サンゴ礁イニシアティブを推進するとともに、サンゴ礁の社会経済的評価手法を開発するための国際ワークショップを共催する等、地球規模のサンゴ礁モニタリングネットワークの構築に積極的な役割を果たした。
このほかの国際的な取組としては、開発途上国等における生物多様性保全の取組を支援することを目的として、アジア地域における鳥類のレッドデータブック作成のための協力や、JICAによるインドネシア生物多様性保全計画プロジェクト等が実施されている。