前のページ 次のページ

第2節 調査研究、監視・観測に係る国際的な連携の確保等

 地球環境保全等に関する調査研究については、国際的な研究計画に参加・連携しつつ、自然科学研究はもとより、人文社会科学の視点からの研究を含め学際的な取組を積極的に推進した。特に、「地球環境研究総合推進費」において、国際的な人材交流を促進し、研究レベルの相互向上を図るため、海外の研究者を招聘して我が国の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の拡充を図った。平成9年度においては、中国、韓国、イギリス等8か国から20名の研究者を招聘し共同研究を実施した。
 我が国が事務局を務めるアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、平成9年度において、地域内で実施するアジアモンスーンの変化に関する観測、人間・社会的側面からみた地球環境問題に関する研究等に対し支援を行った。また、平成9年8月には、中国・北京において「アジア太平洋地域温暖化対策統合評価モデルトレーニングワークショップ」を開催し、中国の研究者の能力向上に貢献した。
 建設省では、地球環境の現状と変動の把握のため、地球規模の地理情報を国際協力の下で整備する「地球地図構想」を提唱し、これまでに2度の国際ワークショップ、国連との共催による地球地図に関するセミナーの開催のほか、平成9年11月に地球地図国際フォーラムを創設し、地球地図整備の具体化に向けた活動を行った。
 監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/政府間海洋学委員会(IOC)における全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)、全球気候観測システム(GCOS)及び全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加・連携して観測・監視を行った。特に、気象庁では、平成9年度より北東アジア地域海洋観測システム(NEAR-GOOS)のリアルタイムデータベースの運用を開始し、またWMO等と協力して気候変動に関する国際ワークショップを開催する等、観測・監視を中心とする科学的評価活動に取り組んでいる。さらに、WMO/GAW計画の一環として、温室効果ガスデータの世界的な収集・管理・提供を行うWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)業務及びアジア・南西太平洋地域における観測データの品質を評価するWMO品質保証科学センター(QA/SAC)業務を行うとともに、岩手県綾里、東京都南鳥島及び与那国島におけるGAW計画の観測所では、温室効果ガス等の観測を行っている。
 また、人工衛星による地球環境の観測・監視については、平成8年8月に宇宙開発事業団により打ち上げられた地球観測衛星「みどり」は、平成9年6月の機能停止まで約8ヶ月間にわたって観測を行った。これらのデータは国際的な連携・協力のもとに地球環境の観測・監視及び関連する研究に活用されている。

前のページ 次のページ