3 国際的に高い価値が認められている環境の保全
ラムサール条約締約国会議の勧告及び「アジア太平洋地域水鳥保全戦略」に基づき、シギ・チドリ類及びツル類の渡りルート上の重要生息地のネットワークを構築し、その活動を推進した。
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき世界遺産一覧表に登録された屋久島及び白神山地の自然遺産について、管理計画により適切な保全を推進した。国内の世界自然遺産の保護管理については、平成9年10月に世界遺産委員会の委託を受けた国際自然保護連合による進捗状況についての調査が行われた。調査結果については、その概要が平成9年12月に開催された第21回世界遺産委員会で報告され、高い評価を得た。また、アジア地域の世界遺産登録地の保護対策のための管理計画支援のための調査等を実施した。
南極地域には、過酷な自然環境及びそれに適応した特殊で脆弱な生態系が成立しているが、近年、地球環境のモニタリング等の観点から、人為による汚染の極めて少ないその環境の重要性が注目されている。南極地域については、昭和36年に領土権の凍結、軍事利用の禁止、科学観測のための国際協力を目的とする「南極条約」が発効し、以来科学観測の場として利用されてきているが、近年、基地活動や観光利用の増加による環境影響も懸念されている。このため、南極地域における活動を計画する際の環境影響評価の実施、動植物相の保存、廃棄物の処理等の幅広い義務が規定された「環境保護に関する南極条約議定書」を締結し、平成10年1月に発効した。同時に「南極地域の環境の保護に関する法律」(南極環境保護法)が施行された(第5-1-8表)。同法では、原則として南極地域で行われるすべての活動について事前に計画の申請を義務づけ、議定書で禁止している行為がないこと、南極地域の環境に著しい影響を及ぼすおそれがないこと等の要件に適合する旨を環境庁長官が確認することとしている(第5-1-2図)。