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第1節 

4 環境研修の推進

(1) 環境研修の実施
 環境政策の新たな展開に対応し、環境行政を効果的に進めていくためには、国及び地方公共団体等の環境行政担当職員等の資質、能力の向上を図ることが重要な課題である。
 このため、環境庁では、昭和48年3月に公害研修所を設置し、平成2年7月からは国立環境研究所環境研修センターに改組して、国及び地方公共団体の職員等を対象に各種の環境保全に関する研修の充実強化に努めてきた。
 平成9年度においては、新たに国際環境協力に従事する専門家の養成を図るため、「国際環境協力専門家養成研修」を創設し、その第一段階として「国際環境協力入門研修」のコースを開設した。このほか、既存の研修コースについても研修効果の一層の向上を図るため、環境行政の展開や地方公共団体等の要望を踏まえつつ、研修内容等の改善を行った。平成9年度に実施した研修は、行政関係研修22コース及び分析関係研修9コースの合計31コースであり、1,278名(行政関係1,052名、分析関係226名)が研修を修了した。
 平成9年度末までの研修修了者は延べ27,213名(うち行政関係は22,246名、分析関係は4,967名)に及んでいる。
 研修に参加する研修員の所属機関は多様であり、所属機関別の研修修了者の割合は国が約2割、地方公共団体が7割強、特殊法人等が1割弱となっている。
(2) 環境研修の支援等
 近年、地球環境問題に対する関心の高まりや環境政策の対象領域の拡大等を背景として、地方公共団体における研修業務の急増が見られる。このため、環境研修センターは地方公共団体の行う環境研修についても必要な情報の提供等の支援等を行うためデータベースの整備等を進めている。
(3) 国際研修棟等の設置
 近年、途上国から我が国に対して環境問題への対処のための環境分野の専門家の派遣の要請が急増している。ところが、実際に途上国において求められているニーズにこたえられる専門家は、現状では質・量ともに不足しており、人材不足が我が国の国際環境協力推進の大きな障害となっている。
 このため、環境庁では、途上国の要請に的確にこたえ、かつ任地で効果的な環境協力を行うための日本人専門家の養成を図るため、環境研修センターにおいて国際研修棟の新築及び宿泊棟の増築工事を進めてきたが、平成9年10月に竣工した。これにより、研修機能の施設面での充実強化が図られている。
 この国際研修棟は、それ自体が環境配慮型の施設のモデル事例として研修教材ともなるように、太陽光発電システムの採用をはじめ、太陽光等自然エネルギーの有効活用、断熱性向上の構造の採用、雨水利用システムの導入、屋上等の緑化など、環境保全に特に配慮して建設されたものである。

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