4 調査研究等の推進
全国的な観点からわが国における自然環境の現況及び改変状況を把握し、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料を整備するため、第5回自然環境保全基礎調査を引き続き実施し、平成9年度においては、「植生調査」「特定植物群落調査」「環境指標種調査」等を実施した。
生物多様性保全の観点から、種の分布現況の全体像を把握する「種の多様性調査」、重要な生態系が成立している地域を総合的に把握する「生態系多様性地域調査」、地域個体群の遺伝的多様性を把握するための調査手法開発を行う「遺伝的多様性調査」からなる「生物多様性調査」を引き続き実施するとともに、海域の生態系や海洋生物の現状把握を目的として「海辺調査」「重要沿岸域生物調査」「海棲動物調査」からなる「海域自然環境保全基礎調査」に着手した。また、自然環境や生物多様性に関する情報を収集・管理・提供する生物多様性センターの整備を進めた。
絶滅のおそれのある野生動植物について生息・生育状況を把握するため、レッドデータブック掲載種を対象に地域の専門家や学会の協力を得て、生息・生育状況のモニタリングを実施した。また、動物版レッドデータブック改訂のための情報収集・解析を行うとともに、植物版レッドリストを公表し、引き続きレッドデータブックの作成作業を進めた。
さらに、生物多様性を確保する技術的手法の確立を目的として、里地の野生生物の生息・生育環境を保全・修復するためのモデル事業及び、島しょ地域の生態系に影響を及ぼすおそれのあるマングース等の移入種を駆除・制御するためのモデル事業を実施した。
さらに、野生生物保護思想の普及啓発を推進するため、愛鳥週間行事の一環として島根県において第51回「全国野鳥保護のつどい」を開催したほか、愛鳥モデル校を中心に行われている野生生物保護の実践活動を発表する「全国野生生物保護実績発表大会」等を開催した。