平成9年12月11日、京都。21世紀における地球温暖化防止対策について熱心に議論が行われてきた気候変動枠組条約第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)は、本来の会期である10日を過ぎても、まだ会議が続けられていた。先進国同士が、また先進国と途上国とが、互いの意見の相違について延々と夜を徹して議論を戦わせ、ついには通訳もいなくなっていた。長い会議の末、議長である大木環境庁長官の木槌の音とともに、今後の取組を定める気候変動枠組条約京都議定書が採択されたのは、もう午後であった。
この京都会議における議定書採択に至るまでの経過を見ると、そこには先進国間の対立、先進国と途上国との対立等様々な形での対立があった。また、この京都会議における対立を通して、現代の経済社会が抱える様々な問題点、これから21世紀を迎える我々の課題も浮き彫りにされたという見方もできるだろう。
しかし、まがりなりにも今回の京都会議において21世紀における地球温暖化防止のための議定書が採択されたことは、我々が自らの力で課題を解決し、21世紀の地球を少しでもよいものにできるという可能性と希望をもたらしたとも言えるのではないだろうか。
本章では、まず第1節210/sb1.0.1>において京都会議に至るまでの経過と京都会議の成果について描きつつ、京都会議が残した様々な課題と希望について概観する。さらに第2節210/sb1.0.2>では、京都会議を通して垣間見えた巨大な環境負荷を招く先進国社会の限界を踏まえ、21世紀に向けて我々が現代の大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会システムをどのようにして変革すべきか、という方向性について論じる。