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第4節 

1 循環

(1) 大気環境について
ア 緩衝緑地
 公害の防止、緩和等のための緑地(緩衝緑地)、幹線道路の沿道環境を保全するための緑地又は大気汚染公害の防止を目的とした緑地(大気汚染対策緑地)及び産業廃棄物処理施設周辺の生活環境の改善を目的として、産業廃棄物処理施設と一体的に整備する緑地(産業廃棄物処理施設一体緑地)の整備を推進する。
(2) 水環境保全について
ア 環境保全上健全な水循環の確保
(ア) 森林保全
 水源かん養機能の高度発揮のための森林整備等とこれらに必要な林道整備を総合的に実施するなど森林保全整備事業を計画的に推進する。
 また、治山事業については、水源地域の機能強化を目標として、水資源の安定的な確保等に資するため複層林等の森林整備と治山ダム等の水土保全施設の一体的整備や、森林と渓流が一体となった良好な森林水環境の形成のための渓畔林の整備等を実施する水源地域整備事業を449か所について計画的に推進する。
(イ) 河川等の浄化対策
 河川の水環境改善にかかわる事業として、汚泥のしゅんせつ、浄化用水の導入、河川水の直接浄化等の事業を「河川環境整備事業」として実施する。汚濁水と清浄水を分離し、流水の適切な保全を図る「流水保全水路整備事業」、湖沼内の汚泥のしゅんせつと湖周辺の環境整備等を一体的に実施する「レイクタウン整備事業」、ダム貯水池における濁水・富栄養化現象を防止・軽減するため、「ダム貯水池水質保全事業」及び「特定貯水池流域整備事業」を実施する。また、特に汚濁の著しい河川等においては、「水環境改善緊急行動計画」に基づき市町村や地域住民等の取組と一体となって河川事業、下水道事業を重点的に実施するほか、流域においても浄化事業を行う「総合浄化対策特定事業」を実施する。
 このほか、河川の流況改善については、建設省所管のダム建設事業として、浄化用水等環境用水の確保を図る「水環境対策ダム事業」を含めて合計290事業を実施し、積極的に流況の改善を図る。
(ウ) 環境保全活動に密着した水辺環境の整備
 住民に身近な水路、水辺の環境を整備する「身近な水辺環境再生事業費補助」やヨシ等の水生植物を活用した水質浄化を行うとともに、地域の環境学習の場としても活用可能な施設の整備を行う「生態系を活用した水質浄化事業費補助」により、積極的に水辺環境の整備を推進していく。
 また、地下水涵養施設、井戸・湧水周辺施設等を整備する「井戸・湧水復活再生事業費補助」により、地下における健全な水循環の確保を図る。
(エ) 港湾環境保全対策
a 港湾の浄化対策
 事業費311億8,400万円(うち国費13億3,146万円)で大阪港、福山港等10 港において汚泥しゅんせつ事業等を実施する。
b 海域の環境整備事業対策
 運輸省は、一般海域におけるごみ、油の回収船を東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海に配備しており、平成9年度は事業費15億4,500万円で回収事業を実施する。また、底質浄化のための覆砂を行う。
 さらに、建設省においては海域浄化対策事業を長浜海岸等3海岸で実施する。
イ 水利用の各段階における負荷の低減
(ア) 下水道事業
a 下水道事業
 普及が後れている中小市町村の下水道整備、総合的な雨水対策、水質保全のための高度処理の積極的導入を始め、下水道資源・施設の有効利用、地震対策、改築・再構築、合流式下水道の改善等、下水道施設の高度化等を推進することとしている。具体的には、緊急下水道整備特定事業を含む総事業費3兆3,942億円で、公共下水道(継続1,378か所、新規40か所)、流域下水道(継続122か所、新規2か所)、都市下水路(継続184か所、新規8か所)、特定公共下水道(継続2か所)及び特定環境保全公共下水道(継続797か所、新規80か所)等の事業を推進するとともに、各種計画の策定を推進する。
b 流域別下水道整備総合計画
 流域別下水道整備総合計画等の策定を推進するため、調査費1億8,900万円で調査を実施する。
c 技術開発及び調査研究
 下水道事業調査費8億5,700万円で、下水道施設のコスト節減のための総合的な技術開発を重点的に実施する。さらに、国立機関公害防止投資研究として、下水処理水の高度処理技術の確立、下水処理施設での有機有害物質の挙動に関する研究を実施する。
d 日本下水道事業団
 地方公共団体等からの委託により終末処理場の建設事業等を実施するほか、下水道技術者の研修、技術検定及び下水道に関する技術開発、試験研究等を行う。
 また、財政投融資資金を活用した、広域的に下水汚泥を収集処理する下水汚泥広域処理事業(エースプラン)については、引き続き兵庫地域、大阪北東地域及び大阪南地域において事業を実施する。
(イ) 合併処理浄化槽設置整備事業
 合併処理浄化槽は、農村等の人口の散在した地域において特に有効な生活廃水処理施設であり、合併処理浄化槽の設置者に対して助成を行う市町村に対する国庫補助事業(合併処理浄化槽設置整備事業)として平成9年度には国費143億2,737万円を計上した。なお、平成9年度から、合併処理浄化槽、農業集落排水施設、下水道のより一層の効果的かつ計画的整備を図るための「汚水処理施設整備連携整備事業」を創設することとしている。
(ウ) 農山漁村地域における水質保全対策
 都市と比べ立ち後れている農山漁村地域の生活環境の改善を図るため、農村地域においては農業集落から発生するし尿や生活雑排水を処理し、処理水を農業用水として、発生汚泥を有機質肥料等として、リサイクルし、また、農業用用排水の水質保全等を図るとともに、公共用水域の水質保全に資する農業集落排水事業について、平成9年度においては事業費2,777億円(うち国費1,454億円、新規採択総事業費4,457億円)を計上し、計画的かつ効率的な推進を図る。また、山村地域において林業集落排水施設の整備を推進する。さらに、漁村地域にあっては、漁業集落排水施設の整備を推進するとともに、漁港区域内の水域おける汚泥・ヘドロの除去並びに、水質・底質の改善を図る必要が認められる漁港において覆砂及び藻場、干潟等の整備を行う水域環境保全対策等の推進を図る。
 また、事業費2億7,000万円(うち国費1億3,500万円)で千葉港における廃油処理施設の改良を実施する。

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