前のページ 次のページ

第1節 

1 地球規模の大気環境の保全

(1) 地球温暖化対策
 環境基本計画において、長期的には気候変動枠組条約の究極的な達成、中期的にはそのための国際的な枠組み作りへの貢献、当面は地球温暖化防止行動計画を着実に推進することを定めたところであり、今後とも、平成8年6月に中央環境審議会より報告された「環境基本計画の進捗状況の点検結果について」も踏まえて、環境基本計画に基づき、条約及び行動計画に規定された各種の措置を講じるとともに、平成9年12月に気候変動枠組条約第3回締約国会議が京都で開催されることもにらみつつ、国際的な議論及び活動に積極的に参画していく。
 具体的には、地球温暖化防止行動計画に基づき、二酸化炭素排出の少ない技術の開発普及・社会システムの形成等の二酸化炭素排出抑制対策、メタンその他の温室効果ガスの排出抑制対策、森林保全等の二酸化炭素吸収源対策、地球温暖化防止に関する科学的調査研究、観測・監視、技術開発及びその普及、普及・啓発、国際協力等広範な対策の充実を引き続き図っていく。
 また、世界各国が協調して革新的技術の開発等に取り組む総合的かつ長期的なビジョン(地球再生計画)の具体化の促進に努める。
 条約への対応としては、現行の条約では具体的な規定がなく不十分な2000年(平成12年)以降の取組の検討が、気候変動枠組条約第3回締約国会議に向けて進んでいるが、ホスト国として、地球温暖化防止上効果があり、公平で実行可能な国際合意がなされるよう、積極的に主導的役割を発揮していく。また、複数の締約国が協力して共同で温暖化対策を進める「共同実施活動」の実施、開発途上国に対する国際的な資金による援助(GEF等)や技術移転等が図られつつあるが、我が国としてもこのような国際的な取組に積極的に参加していくとともに、国内における2000年(平成12年)以降の取組について検討を進める。
 共同実施活動については、「気候変動枠組条約に係るパイロットフェーズにおける共同実施活動に向けた我が国の基本的枠組み(共同実施活動ジャパン・プログラム)」に基づき、温室効果ガスの排出削減・吸収増大に資する共同実施活動プロジェクトの形成・推進に努めていく。
 また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動枠組条約が必要とする学術的な情報を提供することとし、2000年(平成12年)に完成予定の第3次評価報告書に加え、適切な時期に特別報告書、技術資料等を公表することとしている。我が国としても、引き続きこれら報告書等の執筆に専門家を参加させるなど、IPCCの活動に対する技術的、資金的な貢献を行う。
(2) オゾン層保護対策
 「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」に基づき、オゾン層破壊物質の生産等の規制の的確な実施を図るとともに、その排出抑制、使用合理化の一層の推進に努める。また、引き続き、オゾン層の破壊の状況及びCFC等の大気中濃度の観測・監視、CFC等の破壊技術や代替品等に関する調査研究を推進するとともに、開発途上国におけるオゾン層保護対策への支援の強化に取り組む。
 さらに、CFC等の回収・再利用・破壊の促進については、フロン回収促進のための支援事業等各種施策を積極的に実施し、フロン破壊の長期的・安定的運用を図るためのモデル事業の拡充を図るとともに、関係18省庁で構成する「オゾン層保護対策推進会議」における検討を速やかに進め、その結果を踏まえ、実効ある対策を積極的に展開する。

前のページ 次のページ