地球環境保全等に関する研究調査については、国際的な研究計画に参加・連携しつつ、自然科学研究はもとより、人文社会科学の視点からの研究を含め学際的な取組を積極的に推進した。特に、「地球環境研究総合推進費」について、国際的な人材交流を促進し、研究レベルの相互向上を図るため、海外の研究者を招聘して我が国の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の拡充を図った。平成8年度においては、中国、韓国、イギリス等9か国から19名の研究者を招聘し共同研究を実施した。
我が国が事務局を務めるアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、平成8年度において、地域内で実施するアジアモンスーンの変化に関する観測、人間・社会的側面からみた地球環境問題に関する研究等に対し支援を行うとともに、APN情報交換システムを構築した。
平成9年3月には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)との共催で、「統合評価モデルに関するアジア太平洋地域ワークショップ」を開催し、開発途上国を含む国内外の研究者を得てこの分野における知見の集約等に貢献した。
建設省では、地球環境の現状と変動の把握のため、地球規模の地理情報を国際協力の下で整備する地球地図整備構想を提唱し、平成8年度までに2度のワークショップのほか、平成8年11月には国連との共催により「地球地図に関するセミナー」を開催する等世界に向けての啓発活動を進めている。
監視・観測については、国連環境計画(UNEP)における地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/政府間海洋学委員会(IOC)における全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)、全球気候観測システム(GCOS)及び全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加・連携して観測・監視を行った。特に、気象庁及び運輸省は、WMOと協力して、アジア・太平洋地域オゾンワークショップを開催し、同地域におけるオゾン観測技術・精度の向上を図った。さらに、気象庁では、WMO/GAW計画の一環として、温室効果ガスデータの世界的な収集・管理・提供を行うWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)業務及びアジア・南西太平洋地域における観測データの品質を評価するWMO品質保証科学センター(QA/SAC)業務を行うとともに、従来の綾里、南鳥島に加え、沖縄県与那国島にGAW計画の地域観測所を新設し、平成9年1月から二酸化炭素と地上オゾン濃度の観測を実施した。
また、人工衛星による地球観測については、平成8年8月に宇宙開発事業団により打ち上げられた地球観測衛星「みどり」に、国内外の機関が開発した8種の観測機器が搭載され、国際的な連携・協力の下に地球環境の観測・監視及び関連する研究が開始されたところである。
さらに、環境庁においては、アジア地域における環境測定分析に係る精度管理技術の向上を図るための支援事業に取り組んでいる。