4 平成8年度における主な取組
(1) 各省庁における取組の実施状況
率先実行計画の実施状況については、各省庁が部局又は出先機関等適切な単位で把握し、毎年関係省庁の成果を取りまとめ、環境白書等適切な方法により公表することとなっている。
平成8年12月、平成7年度における各省庁の取組の実施状況を取りまとめ、公表したところであるが、計画に掲げた数量的目標に係る平成7年度の政府全体の実績数値は、第3-2-4表のとおりである。
また、平成8年度において各省庁が計画に基づく様々な取組を実施したところであるが、その取組の主なものは次のとおりである。
ア 財やサービスの購入・使用に当たっての環境保全への配慮
用紙類へのエコマーク、グリーンマーク表示商品等の購入、エコマーク製品や再生品の購入、国際エネルギースタープログラム対象製品等省エネルギー型のOA機器等の購入、省庁内LANシステムの整備等による電子メール、電子掲示板等ペーパーレス化を推進した。
(ア) 古紙利用率100%のコピー用紙を購入(総理府、北海道開発庁、経済企画庁)
(イ) 古紙利用率70%以上のコピー用紙や事務用箋等を購入(防衛庁、科学技術庁、法務省、農水省、通産省、労働省、自治省)
(ウ) 白色度70のコピー用紙の調達について検討(環境庁)
(エ) 文部省が著作の名義を有する教科書について、再生紙の使用を推進(文部省)
(オ) 郵便葉書への再生紙の使用、非木材紙を使用した寄附金付広告付郵便葉書及びさくらめーるを発行、再生紙利用品目への省独自のロゴマークの付定を推進(郵政省)
(カ) 調査用品として調達が多い鉛筆は、エコマーク製品に切替(総務庁)
(キ) フラットファイルは、焼却時に有毒ガスが出ないもの、廃棄時に分別しやすいものを購入(防衛庁、法務省、会計検査院)
(ク) エコマーク認定品の把握、省内各部局への情報提供及び利用勧奨を行い、エコマーク認定品等の調達を推進(郵政省)
(ケ) 低公害車の積極的導入(電気自動車〜環境庁・郵政省・宮内庁、天然ガス自動車〜文部省、ハイブリッドバス〜農水省、メタノール自動車〜運輸省)
イ 建築物の建築、管理等に当たっての環境保全への配慮
省エネ型照明設備への更新や特定フロンの回収等建築物における環境配慮、建設工事における再生資源の利用の促進等を推進した。
(ア) トイレに、感知式洗浄弁、自動水栓、流水音発生装置を設置(総理府、総務庁、防衛庁、外務省、宮内庁)
(イ) 市ヶ谷地区の新庁舎建設に当たり、コージェネレーションシステムを導入(防衛庁)
(ウ) 環境研修センターの研修棟・宿泊棟は、太陽光等自然エネルギーの有効活用、断熱性向上の構造の採用、雨水利用システムの導入、屋上等の緑化など、環境保全に配慮(環境庁)
(エ) 皇居内濠浚渫工事に当たり、生息魚類の保護や水生植物の移植など、 工事完了後の自然環境の復元が速やかに行われるよう措置(宮内庁)
(オ) 皇居東御苑内雑木林の自然環境保全のための調査を実施(宮内庁)
(カ) 国立学校等施設整備に関し、小便器の自動洗浄設備の設置や、インバーター制御機器・Hf型照明器具など省資源・省エネルギー型の機器の採用を推進(文部省)
(キ) 本省庁舎照明設備に、タイムスケジュール制御装置(事務室)及び調光制御装置(廊下、エレベーターホール)を附設(農水省)
(ク) 省エネ型エレベーターに更新(10台)及び省エネ型蛍光灯安定器への更新(通産省)
(ケ) 中水設備の導入による排水の再利用(防衛庁、法務省、通産省)
(コ) 太陽光発電システム、太陽光利用給湯設備の導入を推進(郵政省)
(サ) エレベーターは、交流二段速度制御方式から消費電力の少ない交流可変電圧可変周波数制御方式への計画的な改修を検討(郵政省)
(シ) 再生資源利用促進実施要領を作成し、指定副産物の再生利用の促進及び再生資源利用促進計画書の提出等について請負者に周知徹底(郵政省)
(ス) 屋上・壁面・内部空間等の緑化設計手法確立のための事例調査の実施(建設省)
(セ) 官庁施設に係る新たな環境負荷低減技術、ライフサイクル・CO2等の環境負荷評価手法に関する検討・調査を開始(建設省)
(ソ) 再生資材の利用の普及・啓蒙及び再生資材利用に当たっての適用性の検討を目的に建設副産物モデル工事を実施(建設省)
(タ) 建築設計基準に基づき、敷地面積に対する緑化面積の割合を20%程度以上として計画、また、自然環境・景観との連続性・対比性を検討し、調和を図るよう計画(建設省)
ウ その他行政事務に当たっての環境保全への配慮
エネルギー使用量の抑制、リサイクルの推進に資するごみの分別、廃棄物の減量等を推進した。
(ア) 再利用の観点から、リサイクル封筒用紙を作成し再利用の際に添付、 また、関係機関に参考配布(環境庁)
(イ) 郵便物輸送について、輸送荷量に応じた車種・便数の見直しや荷量・送達速度の確保等を勘案した減便など、運送車両の増加抑制、また、鉄道コンテナの利用拡大(郵政省)
(ウ) 郵政事業における業務能率向上と人材の有効活用を図るため、テレワークを試行することとし、その適用業務や課題等を検討(郵政省)
(エ) 寄附金付郵便葉書及び国際ボランティア貯金の寄附金並びに簡易保険資金による環境保全分野への貢献を推進(郵政省)
(オ) 閉庁日は、高層・低層用エレベーターをそれぞれ1基のみ稼働(法務省)
(カ) 庁舎独自の節水マニュアル等により、水道水圧を適宜調整(防衛庁、 法務省、外務省)
(キ) 全執務室に分別回収ボックスを設置する等事務室段階での分別収集を実施(北海道開発庁、経済企画庁、郵政省、会計検査院)
(ク) 各階湯沸場にリサイクルボックスを設置し、缶・ビン・廃プラスチックを分別回収(総務庁、国土庁、外務省、法務省)
(ケ) シュレッダーによる裁断紙、カーボン紙等の分別回収を徹底(郵政省)
エ 環境保全に関する職員に対する研修等の実施
研修カリキュラムに環境保全に関する事項の設定、啓発資材等による職員に対する意識啓蒙等を実施した。
(ア) 初任者研修、新任係長研修や講演会などの場を捉え、職員の意識啓発を促進(北海道開発庁、防衛庁、文部省、労働省、公正取引委員会、宮内庁)
(イ) 「環境保全に考慮した設計」等をテーマとした技術系職員の研修会を実施(文部省)
(ウ) 電気通信研修所の電波監視科訓練の中で電磁環境対策の授業を実施 (郵政省)
(エ) 年2回発行の冊子に「自分がどれくらい地球に優しくしているか」をチェックする表を掲載(法務省)
(オ) 国立学校等職員に対し、保全に関するパンフレットの配付などにより、環境保全について啓蒙(文部省)
(カ) 毎日3時の庁内放送を利用して、職員に対し節電、用紙類の削減、両面コピーの励行等意識啓発を実施(環境庁)
(キ) 計画の実効ある取組を図るため、担当者の協議の場や各課室に環境保全推進員を設置(法務省、文部省)
(ク) 環境率先実行計画推進委員会の下に実行推進幹事会を置き、具体的取組の検討・推進(国土庁、労働省)
(ケ) 部課長会議、担当者会議等各種会合において、節水・節電や残業縮減など、計画の趣旨・取組を周知徹底(法務省、文部省、人事院)
(2) 検討課題の取組
率先実行計画では、各省庁に共通した取組や目標のほか、取組の実施に際して検討が必要とされた課題が掲げられており、これらの課題について、計画策定以降関係省庁において検討を進めてきたところである。平成9年3月、環境基本計画推進関係省庁会議において、「物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リスト」のあり方及び基本原則、「率先実行計画の監査の在り方」、「政府の行政事務に伴い直接的及び間接的に排出される二酸化炭素の実重量の推計」について決定し、公表した。