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第3節 

1 物の生産・販売・消費・廃棄

(1) 全般的な施策
 環境への負荷の評価手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)の技術的側面についての検討を行うなど、引き続き所要の調査、研究、情報提供を行う。
 環境保全型商品の一層の普及を促進するため、環境保全型商品を推奨するエコマーク等へISOにおける標準化等の動向を踏まえ、ライフサイクルを考慮した評価手法の導入を促すとともに、消費者及び事業者への普及・啓発を行う。
 廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の発生抑制、適正なリサイクル及び廃棄物の適正な処理を進める。
(2) 農林水産業における環境保全施策
 農業においては、農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した環境保全型農業の全国的な展開を図るため、都道府県、市町村段階での方針の策定等の実施、生産物の品質評価、畜産由来肥料の効果的活用、市町村方針に基づく環境保全型農業実践のための条件整備等を行うとともに、営農現場に密着した各種の指導・助言及び農業団体間の情報交換等を行うことに加え、環境保全型農業の啓発・普及等を行う拠点施設を整備する。また、家畜ふん尿の適正な処理を図るとともに、耕種農業における堆きゅう肥の利用を促進するため、畜産における環境保全に関する農家指導及び耕種部門との連携、堆きゅう肥の需給調整を行う堆きゅう肥総合利用センターの設置、家畜ふん尿の処理利用施設の整備等を行う。
 さらに、生産基盤等の総合的整備の際に環境保全林、緑地帯等の自然環境の保全を進める。
 林業においては、適正な保安林の配備及び維持管理を推進するとともに、森林計画制度に基づき、持続可能な森林経営を一層進めるほか、複層林施業や育成天然林施業等の適正な森林の整備を促進する。
 水産業においては、つくり育てる漁業を推進するため、「海の畑づくり」として、沿岸域の藻場・干潟の保全、ヘドロの浚渫等を実施するとともに、放流魚により自然界に生息する魚の遺伝的悪影響を生じさせないよう生態系保全型種苗生産技術開発事業を実施する。また、養殖による環境への負荷の低減のため、残餌等の養魚堆積物の適正な処理技術の開発試験を実施するとともに、非給餌・省給餌養殖対象種の開発調査を行い、新たに養殖漁場の管理に必要な環境指標の設定と簡便な測定手法の開発を実施する。一方、「資源管理型漁業」を推進するため、資源の状況、利用実態等に係る調査・検討を行うとともに、資源の利用者である漁業者の合意に基づく自主的な資源管理体制を整備するための事業を実施する。
(3) 製造業における環境保全施策
 製造業においては、例えば鉄鋼業、紙パルプ産業等に対し公害対策指導を行うほか、省資源・再資源化推進のための環境整備事業を行う。中小企業の公害対策について、実態を把握するとともに、中小企業自身の研究開発を支援する。
 食品産業においては、生産段階では、製品の生産から消費・廃棄を通じた食品環境負荷評価のシステムの開発、食品工場の廃棄物等の利用効率化、食肉製造業等から排出される畜産物残渣のリサイクルの推進等を行う。流通段階では、食品流通業におけるリサイクルシステムの策定、外食産業における廃棄物の減量化・再資源化、動植物性残渣の堆肥化・飼料化等の対策の推進、魚腸骨等の食品残渣を処理する魚腸骨等食品廃棄物処理施設整備等を行う。消費段階では、消費者の環境に配慮した食行動への取組促進のための啓発、廃食用油の需要開拓等を行う。また、これら各段階を通じ、共通的、基盤的対策として、環境対策の総合検討、リサイクル情報の提供、推進指導体制の整備、容器包装廃棄物リサイクル対策等を行う。
 また、食品産業廃棄物の飼肥料化等有効利用技術及び食品容器包装リサイクル技術の確立のための事業を実施するとともに、生物活性等を利用した再資源化技術の開発を実施する。
(4) 建設業における環境保全施策
 建設業においては、住宅等の建築物に係る地球温暖化防止ガイドラインを策定する。また、同様に、建設産業全体についても取り組むべき環境行動のあり方について調査検討を行う。

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