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第3節 

1 経済的助成

(1) 環境保全事業の助成

ア 環境事業団による助成
(ア) 事業団の事業
 環境事業団は、昭和30年代における我が国経済の高度成長の過程で深刻化した大気汚染、水質汚濁等の産業公害問題を解決するため、昭和40年10月公害防止事業団として、公害防止事業団法に基づき設立された。以来、公害防止の専門助成機関として、事業者等が講ずる公害防止対策に対する助成を積極的に推進してきた。
 その後、環境行政の主要課題の変化に対応するため、平成4年5月の法改正により、事業の見直しが行われ、国立・国定公園集団施設地区の整備等の公害防止にとどまらない環境保全のための事業を開始するとともに、名称が「環境事業団」に改められた。
 また、平成5年5月の法改正により、民間団体が行う地球環境保全のための活動を支援するため、環境事業団は「地球環境基金」を開設した。
i) 建設譲渡事業
 建設譲渡事業は、?集団設置建物、?共同福利施設(緩衝緑地、公園施設)、?大気汚染対策緑地、?産業廃棄物処理施設・一体緑地、?国立・国定公園複合施設に大別される。事業団は、これらの施設を設置しようとする事業者等からその事業を受託し、工事施行に伴う事業全般を行い、完成施設は建設原価をもって長期かつ低利の条件で譲渡するものである。
ii) 融資事業
 融資事業は、?産業公害防止施設、?産業廃棄物処理施設、?市街地土壌汚染・地下水汚染防止等事業、?合併処理浄化槽の設置のための費用の融資事業を対象として、これらの施設を設置する者または事業を実施する者に対して融資を行うものである。
iii) 地球環境保全事業
 地球環境問題への対応として、?事業団に蓄積している情報・技術的知識で、開発途上地域の環境保全に資するものを内外の関係機関に提供する海外環境情報提供事業を実施するとともに、?地球環境基金により、民間団体が行う地球環境保全のための活動に対し、助成その他の支援事業を実施している。
(イ) 平成7年度の事業
 平成7年度の事業計画(新規契約額)は910億円(建設譲渡事業460億円、融資事業450億円)であった。また、地球環境基金事業を実施するため、環境事業団出資金として10億円、環境事業団補助金として8億円を確保した。
イ その他の政府関係機関による融資
(ア) 中小企業設備近代化資金制度による融資
 設備近代化資金貸付制度は、「中小企業近代化資金等助成法」に基づき中小企業の設備近代化の促進を目的として都道府県が窓口となって個別中小企業に対して貸付けを行うものである。この一環として公害防止施設に対しても融資(通達で定める施設のみ)を行った。また、小規模企業者等に対しては、各都道府県に設立されている貸与機関から設備を貸与する設備貸与制度による貸与を行った。
(イ) 中小企業金融公庫、国民金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による融資
 中小企業金融公庫、国民金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による産業公害防止施設等に対する特別貸付、過密解消及び公害防止のための中小企業の工場移転等に対する特別貸付を行った。
(ウ) 中小企業事業団による融資
 中小企業事業団の高度化融資制度では、中小企業構造の高度化に寄与する事業を行う中小企業者に対し、長期・低利の融資を行っている。この一環として住工混在の解消等を目的として工場適地に移転する工場の集団化事業や、中小企業の組合の行う共同公害防止処理施設設置事業等に対して、融資を行った。
(エ) 日本開発銀行による融資
 環境水準の維持・向上のために、公害防止施設、廃棄物対策設備、都市環境整備事業や環境関連技術開発などに対して融資を行った。
(オ) 北海道東北開発公庫による融資
 北海道及び東北における望ましい環境水準の維持達成に資するため、公害防止施設整備のための融資を行った。
(カ) 農林漁業金融公庫による融資
 畜産経営に起因する環境汚染の防止を図り、併せて生産性の高い畜産経営の育成に資するため、農林漁業金融公庫から畜産経営環境保全に係る資金として、地域及び経営の実情、環境汚染の実態等に応じた環境保全対策に必要な家畜排せつ物処理施設の設置等に要する資金を融通した。
(キ) 金属鉱業事業団による融資
 「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づく使用済特定施設に係る鉱害防止事業に必要な資金、鉱害防止事業基金への拠出金及び「公害防止事業費事業者負担法」による事業者負担金に対して融資を行った。

(2) 税制上の措置

 平成7年度においては、以下の税制上の措置が講じられている。
ア 国税関係
 (ア) 公害防止用設備(ばい煙処理用設備、汚水処理用設備等)について、大企業に対しては原則として一定の性能基準を満たすものに対象を限定した上で、特別償却措置の適用期限を延長した。
 (イ) 特定フロン等排出抑制・回収設備について、特別償却措置の適用期限を延長した。
 (ウ) 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法の指定地域内の特定施設の地域外への移転に伴う資産の買換えに係る課税の特例制度を講じた。
 (エ) 廃棄物再生処理用設備(建設廃棄物再生処理装置、空缶選別圧縮装置、ガラスくず処理用異物除去装置)に係る特別償却措置の適用期限を延長した。
 (オ) 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備事業のために土地等が買い取られる場合について、シュレッダーダストを扱う管理型最終処分場の設置促進を図るため、当該事業が産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の特定周辺整備地区内で行われるものであることとする要件を廃止した。
 (カ) 大阪湾臨海地域開発整備法に基づく開発地区において整備される中核的施設に係る特別償却措置の適用期限を延長した。
イ 地方税関係
 (ア) 低公害車(電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、ハイブリッド自動車)について、自動車税及び軽自動車税の軽減措置を廃止し、自動車取得税の軽減税率を拡充した。
 (イ) 登録廃棄物再生事業者の事業の用に供する施設に係る事業所税の軽減措置及び特別土地保有税の非課税措置の適用期限を延長した。

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