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第5節 

4 海洋汚染の防止

 現在、国際条約等により講じられている海洋汚染については、その規制の円滑な実施を推進し、新たに海洋汚染問題に対しては、国際的動向に対応して海洋汚染防止のための施策を講じていくこととしている。
 昨年11月に、海洋環境の保護及保全を内容に含む「海洋法に関する国際連合条約」(通称国連海洋法条約)が発効したことを受けて、我が国としても早期批准に向けた国内体制の整備を進めている。環境庁では海洋環境の総合的な調査を実施するほか、東アジア地域の沿岸国間によって共有される海洋環境に関する情報交換の円滑化を推進する。
 1993年(平成5年)11月に開催された第16回ロンドン条約締約国協議会議において産業廃棄物の海洋投入処分及び洋上焼却の禁止等を内容とする同条約附属書の改正が行われた。このうち、産業廃棄物の洋上焼却の禁止等について海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令等の改正により国内対応を行ったが、産業廃棄物の海洋投入処分の禁止については、1996年(平成8年)1月から適用となるため、環境庁として、これに対応した国内体制の整備を行うこととしている。
 また、「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約」(OPRC条約)の締結に際して必要となる国内体制を整備するため、油流出事故を発見した船舶等の通報に関する規定の整備、油保管施設等に対する油濁防止緊急措置手引書の備置きの義務付け等を内容とする「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案」を第132回国会に提出したところであり、本法案の成立を受けて油濁防止緊急措置手引書に係る技術基準の設定等必要な措置を講じていく。このほか、国際的な大規模油汚染事故の緊急防除体制の整備も推進することとしている。
 さらに、船舶による環境汚染を防止するため、運輸省において船舶からの油流出防止のための研究開発及び船舶からの排気ガス浄化のための研究開発を推進するとともに、現在、国際海事機関(IMO)において進められている船舶からの排出ガス規制に関するMARPOL73/78条約新附属書策定のための審議に引き続き積極的に参加する。

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