前のページ 次のページ

第1節 

1 地球環境保全に関する国際的な連携の確保

(1) 多国間の枠組みによる連携
ア 国連
(ア) CSD
 地球サミットのフォローアップを目的として1993年(平成5年)に国連経済社会理事会の下に設立された「持続可能な開発委員会」(CSD)は毎年一回開催され、各国のアジェンダ21の実施状況及び環境と開発に関する活動を監視することとなっている。
 我が国は、1993年(平成5年)に策定した「『アジェンダ21』行動計画」を着実に実施するとともに、CSDに積極的に参加し、地球サミットの合意事項の効果的な実施に貢献していく。
(イ) UNEP等
 国連環境計画(UNEP)は、設置後20年を経て、その活動も軌道に乗り、国際的な協力を得て数多くのプログラムを積極的に推進している。我が国は、環境の分野で多くの経験と豊富な知見を有しており、UNEPの活動においては、設立以来継続して理事国となるなど、国際社会の一員として積極的に貢献してきた。
 今後ともUNEPを通じた活動を積極的に支援するとともに国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)等を通じて、アジア・太平洋地域との協力関係を一層深めていく。なお、ESCAPでは、平成7年11月に環境大臣会議の開催を予定しており、我が国としても積極的に貢献していく。
 また、UNEP国際環境技術センターは、平成6年4月に開所し、事業を開始したところであるが、同センターにおける効果的な人材開発を進めるための研修プログラムや教材の作成への協力等を行うとともに、関係府県市等と協力しつつ同センターの円滑な業務の遂行を積極的に支援していく。
イ OECD及びIEA
 平成7年度には5年に一度のOECD環境大臣会合が予定されており、我が国としては、公害を経験しそれを克服してきた経験を生かしつつ、OECDの環境分野における活動に積極的に参画・貢献する。
 IEAについても、気候変動問題への技術的対応に関するエネルギー研究技術委員会(CERT)の活動に積極的に参画していく。
ウ WTO
 1995年(平成7年)1月に、WTOの「貿易と環境に関する委員会」が設立された。我が国としては、貿易政策と環境政策を相互支持的にするための議論が行われることを踏まえ、同委員会における議論に引き続き積極的に参加・貢献する。
エ 先進国首脳会議(G7サミット)
 過去のG7サミットにおいて環境問題は次第に重要性を増してきており、先進国間においても地球サミットの成果の効果的なフォローアップを通じた環境上持続可能な開発を確保することが重要との共通認識がある。この流れを受け、昨年のイタリアでの開催に引き続き、本年もカナダにてG7環境大臣非公式会合が開催される予定である。我が国としては、地球サミットの気運を持続し、環境問題への対応で国際的なイニシアティヴを発揮していくことが重要と考えており、積極的な役割を果たしていく。
オ アジア・太平洋地域
 アジア・太平洋地域は世界人口の過半数を擁し、多様な自然資源に恵まれているが、ダイナミックな経済成長に伴い、人口、貧困、都市環境等、21世紀に向け持続可能な開発を実現していく上で、数多くの課題を抱えている。これらの課題の克服のためには、地球環境保全のために地域における環境政策の連携を図り、地域協力を推進していくことが重要である。
 環境庁は、地球サミットにおける合意事項の実施に向けた地域環境協力の在り方を議論する「アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)」を1995年(平成7年)以降も継続開催するとともに、エコ・アジア'93で実施が合意された「アジア・太平洋地域の環境と開発に関する長期展望プロジェクト」を地域協力の下に積極的に推進する。また、「環日本海環境協力会議」の開催を通じ、北東アジア地域の環境保全に関する政策対話の強化に努める。
 個別分野に関しても、「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」、「東アジア酸性雨モニタリングネットワークに関する専門家会合」等を今後とも開催するとともに、域内の研究協力を推進し、各国の地球環境問題への対処能力の向上を図る「アジア・太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」の暫定事務局として積極的貢献を図っていくこととしている。
(2) 二国間の枠組みによる連携
 日米環境保護協力協定に基づくプロジェクトについて、情報交換等の協力を推進するほか、日・EUにおける環境協力、日ソ環境保護協力協定に基づく活動、日中及び日韓環境保護協力協定に基づく協力活動、日独科学技術協力協定に基づく環境保護技術パネルの活動、並びに各国との科学技術協力協定に基づく共同研究・調査等の協力活動を進める。
 また、天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の保全・レクリエーション・公園専門部会における情報交換及び専門家の交流を引き続き行っていく。
(3) 国際的な連携の確保に資する海外広報の推進
 我が国は、公害問題とその対策に関する多くの知見を有しており、諸外国の環境政策の充実のため、また、我が国全体に対する正しい理解を促進するため、これらを含む我が国の環境問題に対する取組を的確な情報として提供し、国際的な連携の確保に資することが重要である。特に、地球サミットのフォローアップに関する我が国のイニシアティヴを発揮していくため、環境問題に関する海外広報を一層積極的に行っていくことが必要となっている。このため、「環境白書」(Qualityof the Environment in Japan)等定期刊行物、国際的に要望の高い行政資料の英文版、目的に応じた海外広報用資料などの作成・配布を通じ、環境問題に対する我が国の取組につき積極的に海外広報を行っていく。

前のページ 次のページ